初めに

今回は新人看護師に伝えたいことをポイントを絞って紹介します。
4月から入職し、早い病院では7月頃から夜勤が始まります。また、手術室や救命センターなどを除いて冬くらいまでには、ほとんどの看護師が夜勤に入る形になっています。
業務がある程度独り立ちし、目が離れて嬉しい反面、不安も募る時期だと思います。今回、この記事を書くことにしたのは、Twitterや Instagramで厳しい指摘に悩んでいる人を多く見受けられたからです。
ベテランの領域には遠く及ばないですが、現時点で私が1年目の看護師さんに伝えたいことを記事にしました。
- 仕事のこと
- 勉強のこと
- 余暇のこと
この3つに絞ってお話ししていきます。
仕事を楽しむ姿勢を持つ

結論から伝えると、やるべき仕事は看護の本質でもある、患者さんに最大善の看護を行うことです。
その上で私が1年目の看護師さんに1番伝えたいことは、仕事を楽しむことを常に考えて欲しいです。
日々の業務に追われ、自己学習や課題、チーム会や勉強会、人によっては息をつく暇もないと思います。
先輩からは記録の書き方、書き忘れ、報告が分かりにくい等、業務について細かいアドバイスが続くこともあります。
言っていることが正しければ言い方や指導内容に間違いはなく、それぞれの個性で伝え方や教え方が変わるだけで、間違いではありません。
ただ、看護の本質は先ほども言ったように患者さんに最大善の看護を行うことだ思います
- 記録が端的にまとまっていない
- 報告が分かりにくい
- 記録に時間がかかる/終わらない
情報共有やチームワークはもちろん大切ですが、患者への利益を考えた時に1番大切なことは患者を看ることです。
重要な情報はピックアップして記録や共有することは必須ですが、記録と直接的な看護のどちらに時間を費やすことが患者さんにとって利益となることが多いです。
点滴の時間指示、流量、必須の記録など日常業務は数多くあります
それを、決まりだから行うだけでなく、それらを行う事が患者さんにどんな意味があるのか、『本質』を捉える力を、ぜひ、1年目から身につけて欲しいです
最大善の看護
記事の中で、患者さんにとって、『最大善の看護』という言葉をキーワードとして出しました
私たちは医療従事者として、患者さんの変化を医学的に察知し、医師と協力して対応する必要があります
日常生活のお世話を行なう事も大切ですが、それは、介護士や看護助手さんも行なうことができます。
看護師の行う業務は『療養上の世話』と『診療の補助』です。
特に診療の補助においては、看護師だからこそ見つけることのできる変化もあるのではないでしょうか。
私はその変化に気づけるようになると、もっと医療が楽しくなると思います。
日々の業務を指摘を受けながら過ごすよりも、日々新しい発見と学びを得ながら過ごすでは仕事の楽しさが変わってきます。
仕事を楽しむために
1年目の看護師さんが仕事を楽しむためには、もちろん看護師さん自身の努力も必要だと思いますが、同じくらい環境も大切だと思います。
私は1年目の時、課題として『疾患別の看護』『症状別の看護』『勉強会と確認テスト』などと多くありましたが仕事は楽しんで行うことができました。
もちろん、たくさん医者や看護師からご指摘はいただきました。。
できる看護師ではなかったですが、仕事を楽しめたのは環境が良かったからだと思います。
救急外来という環境で色々な疾患や症状、検査や治療を学び、医療の全体像を少しずつ、分るようになったからだと思っています。
看護師を志す人は、少なからず医療に興味を持ってる人です。
私はその、『医療の全体像を知る機会』を1年目の看護師さんにより多く、作ってあげることが大切だと思います。
1年目の看護師さんで
- CT画像を見てる人がいますか
- 心カテの冠動脈を見てる人がいますか
- 救急外来でどんな治療をしてきたか見てイメージできる人はいますか
- 余分な検査データも全て見ている人はいますか
- メインの輸液の投与速度気にしてる人はいますか
これらは必要不可欠な内容ではないと思いますが、分かると医療が楽しくなる要素だと、私は思っています。
医師や看護師の記事だけで分かってしまう事柄、医師の指示通りであれば困ることのない輸液流量ですが、学び、分かることで医療はもっと楽しくなります。
私は1年目の看護師さんに、その楽しさを知ってもらい、また、私自身も医療の楽しさを伝えることのできる先輩になりたいと思ってます。
私も、日々、CTや検査データを積極的に見るようにして学びを深めています。
やるべき勉強
『仕事を楽しむ』
その為には、勉強は不可欠です。
ただ、勉強に億劫な気持ちの方も多いと思うので、私が一年目の時にやっていた勉強の習慣をお伝えします。
勉強する内容としては主に2種類に分けられます。
- やるべき勉強(課題/宿題)
- やりたい勉強(自己学習)
ICLSの特集でも伝えましたが、『ラーニング・ピラミット』の構造的にも、体験する事が学習定着率が高いです。

私は『体験』『やりたい勉強』『やるべき勉強』を結びつくように勉強を進めています。

特に1年目の頃は、隙間時間を有効活用して勉強していました。
電車に乗ってる時間等で1日の仕事を振り返り、アドバイスされたことや分からなかったこと、気になった内容を調べました。
それを次の日の朝に再度、復習して仕事に向かう習慣をつけると家での勉強時間が少なくても自然と基礎知識は身についてきました。
その上で大切な事は『根拠を考える』習慣をつける事だと思います。
看護学生の頃にたくさん読みましたが、MEDICAさん出版の『なぜ?どうして?』という本があると思います。
※他にもいろいろなシリーズがあります。
この本のキャッチコピーにも書いてある通り、根拠がわかれば忘れないのです。
看護学生の時に、先生から「根拠は?」とよく聞かれていませんでしたか?
臨床に出てルーティンワークが増えると、疎かになりがちですが、根拠を考える習慣をつけると、日々の仕事の中で気になる事や知りたい事がたくさん増えてきます。
その根拠を隙間時間で調べて、次の仕事(体験)で活かすと、より定着率は向上すると思います。
課題とどう向き合うか
病院に努める上で『課題』はつきものです。
特に1年目はプリセプターやミット、指導者等それぞれから課題が出された時は堪らない気分になりますよね。
そんな、課題にどう向き合うか。
答えは変わらず、『患者さんに最大善の看護を行うこと』に繋がるかを考えるといいと思います。
課題を終えることで患者さんに害になることは無いですが、あまり受け持つことの少ない疾患(主科以外の疾患など)や急ぎでない課題もあると思います。
また、私の実体験でもありますが、やらされている課題をやっても記憶には残りません。
その課題の意味や必要性を捉えてください。
逆に、自己の体験(仕事)に関与する課題であれば、勉強した知識が結びつきやすいです。
私は以下の3つに課題を分類します。
- 優先度の高い課題
- 優先度の低い課題
- 不必要な課題(理解している/やる必要性を感じない)
不必要だと思う課題については、取り組んだとしても頭には入らないので、学習定着率としては低いです。
その場合は割り切って、簡素に短時間でまとめて、やるべき課題に向き合うのも一つの手だと思います。
やるべき休憩
人の集中力は様々な見解がありますが、15分〜90分程度とよく言われています。
また、休憩なしで仕事をした時の疲労は非常に回復しにくく、逆に、休憩を挟むと回復しやすいと言う研究成果も出ているみたいです。
このように、人の脳は1日中集中することは困難なため、休憩は非常に大切です。
課題や仕事のことで頭をフル回転させた、後こそ休憩を大切にするべきです。
休憩のPointとしては、
- メリハリをつける
- 休憩(息抜き)の方法を明確にする
この2つが大切だと私は思います。
メリハリをつける
メリハリとは物事の強弱などをはっきりさせること
コトバンク
その意味通り、時間の使い方をはっきりさせることです。
- 通勤の時間は今日の振り返りを必ず行う
- 家で30分は勉強する
- 今日は○○について調べる
どんな内容でも良いですが、継続することが大切なので、必ず達成できる無理のない課題を選ぶと良いと思います。
その課題を終えれば後は休憩し、存分に心身の疲労を取り除いて次の仕事に備えましょう。
休憩(息抜き)の方法を明確にする
『休憩』と言っても人によって休憩する方法はたくさんあると思うので、自分だけの仕事を忘れられる息抜きを作ってください。
息抜きは『小さな息抜き』と『大きな息抜き』と持つと、仕事の集中力も保てると思います。
大きな息抜きは
- 旅行
- 温泉
- 飲酒等嗜好品 などなど
人によって様々ですが、数え切れないほどあります。
飲酒は小さな息抜きでは、と思う方もいると思いますが、小さな息抜きは、もっと何気なく、仕事の合間に出来るくらいの息抜きです。
- 深呼吸をする/深い息を吐く
- 体を伸ばす
私は集中力が切れてきたなと感じた時や、疲れを感じ始めた時は上記のようなことをやって、休憩を挟みます。
小さな休憩は、集中力を維持する大切なPointなので、ぜひ探して、試してみてください。
まとめ
記事のポイントを図にしてみました。

今回の記事で伝えたかった事は、仕事は業務ですが、義務ではないということです。
厳しい指摘に悩んで、辛い気持ちを抱え、家に帰ってまでストレスフルな日々を過ごす必要はないと思います。
また、厳しい言い方でもありますが、自分の将来を他人は責任を持ってくれません。
そして、人生は一度きりです。
自分のやりたい事、楽しいことをもっともっと重要視してください。
私自身も、1年目の看護師さんが仕事を楽しめるような環境を作っていけるように、これからも尽力していきたいと思います。
