抗菌薬と言われると硬いイメージが強く、勉強しようにも取っ掛かりにくい範疇であることが多いです
細菌や疾患との関連性も強いため、疾患や細菌も併合して学ぶとなると更に覚えるのは難を極めます
今回はそんな抗菌剤を大まかにイメージで解説し、抗菌薬が分かりやすくなるように説明していきます
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参考資料
もっとねころんで読める抗菌薬②
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ねころんで読めるシリーズは抗菌薬の参考書の中でも特に分かりやすく書かれています
3部で編成されており、その中でも今回はイメージやエンピリック治療について書かれている内容が多いこの本を参考にしています
抗菌薬の種類と商品名
抗菌薬の種類と一般名および商品名を一覧にしています
種類 | 一般名 | 商品名 |
ペニシリン系 | アンピシリン | ビクシリン |
セフェム系 | セフェピム | セフェピム |
〃 | セファゾリン | セファゾリン |
〃 | セフメタゾール | セフメタゾール |
〃 | セフタジジム | セフタシジム |
〃 | セフトリアキソン | セフトリアキソン |
〃 | セフォタキシム | セフォタックス |
カルバペネム系 | メロペネム | メロペネム |
ペネム系 | ファロペネム | ファロム (内服) |
アミノグリコシド系 | ゲンタマイシン | ゲンタマイシン |
モノバクタム系 | アズトレオナム | アザクタム |
キノロン系 | レボフロキサシン | レボフロキサシン |
テトラサイクリン系 | ミノサイクリン | ミノサイクリン |
マクロライド系 | エリスロマイシン | エリスロシン |
リンコマイシン系 | クリンダマイシン | クリンダマイシン |
ホスホマイシン系 | ホスホマイシン | ホスミシン |
グリコペプチド系 | バンコマイシン | バンコマイシン |
その他 | ピペラシリン・タゾバクタム | タゾピペ |
〃 | スルバクタム・アンピシリン | スルバシリン |
抗菌薬の種類とイメージ
抗菌薬の分類に対するイメージや特徴をまとめました
種類 | イメージ・特徴 |
ペニシリン系 | ・嫌気も好気もグラム陽性球菌 ・連鎖球菌、肺炎球菌などのグラム陽性菌にもペプトストレプトコッカスなどの嫌気性グラム陽性球菌にも有効 |
セフェム系 | ・グラム陽性球菌に始まりグラム陰性桿菌に終わる ・第一世代セフェムはグラム陽性球菌に有効であり、第四世代に向かうにつれグラム陰性桿菌に効果を示すようになる ・基本的に嫌気性菌に活性はないが、セファマイシン系は嫌気性菌に有効 |
カルバペネム系 | ・カビや寄生虫でなければなんでもかんでも ・効かない細菌はステノトロフォモナス・マルトフィリアとMRSA ・セラチア・マルセッセンス、エンテロコッカス・フェシュームにも効果は弱い |
ペネム系 | ・βラクタマーゼに安定的な古典的ペニシリン ・基本的に内服薬のみ |
アミノグリコシド系 | ・通性嫌気性(酸素の有無に関わらず生育可能)のグラム陰性桿菌が専門 ・嫌気性菌には無効であるが、黄色ブドウ球菌には有効 |
モノバクタム系 | ・腎毒性のないアミノグリコシド系 |
キノロン系 | ・腎毒性のないアミノグリコシド系 |
テトラサイクリン系 | ・アウトローに有効 ・マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアに有効 |
マクロライド系 | ・アウトローにも効く変法好み ・グラム陽性球菌と細胞内寄生菌に有効 ・変法とは少量かつ免疫調整用という意味合い |
リンコマイシン系 | ・嫌気性菌にも有効なマクロライド系 |
ホスホマイシン系 | ・塩の多い不思議な薬 |
グリコペプチド系 | ・グラム陽性であれば何でもかんでも |
抗菌薬はスペクトラムの広いカルバペネム系や専門性の高いアミノグリコシド系などそれぞれ特徴が異なります
モノバクタム系やキノロン系に至っては同様のスペクトラムを示すため、耐性菌の有無や相乗効果などを加味して選択されます
また、カルバペネム系は緑膿菌や腸内細菌群、泌尿器科に関連する細菌など幅広く効果を示し、重症感染症にも用いられる抗菌薬です
万能なカルバペネム系ですが、その分耐性菌ができた場合には対応が難を極めるため必要に応じてデ・エスカレーションしていくことが大切
まとめ
抗菌薬のイメージで覚えることで、大まかに使用する抗生剤の予測ができる
範囲が広い薬剤はエンピリック治療として使われやすくデ・エスカレーションに伴い選択的に抗菌薬が使用されます
抗菌薬に対して苦手意識が強い方も多くいると思いますが、抗菌薬の特徴を捉え、まずはイメージすることが大切です
抗菌薬の大まかな違いが分かるようになれば、疾患や細菌など細かい抗生剤の使い分けも理解しやすくなると思います