導入
先日、子どもがけいれんしました
Nurse
我が子が突然けいれんするととても焦りますよね。
ただ、子どものけいれんにも種類があるので一緒に学んでいきましょう
子どもの救急疾患の1つに痙攣(けいれん)があります。けいれんは重症化しやすい症状であり、けいれんに伴う脳の虚血は後遺症をもたらすこともあります。
実際にも子どものけいれんは多く、三次救急(重症)で運ばれてくる小児患者の中でけいれんの割合は非常に高いです。
親であれば子どもがけいれんした際の対応に迷うことや、もし夜中けいれんが起こったらと不安に思うことがあると思います。
今回はけいれんの中でも熱性けいれんに焦点を当てて、けいれんの判断や対応などを紹介していきます。
本記事の内容
- けいれんと熱性けいれん
- 救急車の必要性と待ってる間にやるべきこと
- 受診後の経過
けいれんは発症から治療までの時間も重要になります。そのため、発症してから対応を考えるのではなく、予めイメージを深めておくことで慌てず行動に移すことができます。
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痙攣(けいれん)とは
けいれんとは筋肉の不随意収縮であり、意思とは無関係に筋肉が収縮します。
全身の筋肉の収縮に伴い、呼吸状態も悪化するため、低酸素脳症脳による後遺症を引き起こすこともあります。
- てんかんとは脳の異常興奮によって引き起こされるけいれん
- 特発性てんかん:はっきりとした原因のないけいれん
- 症候性てんかん:脳腫瘍や脳出血など脳障害を原因として引き起こすてんかん
けいれんは脳の異常興奮や電解質異常、発熱などが原因で発症し、部位や特徴によって分類されます。
部位による分類
- 全身性けいれん
- 部分性けいれん
筋収縮による分類
- 硬直性けいれん
- 間代性けいれん
Nurse
臨床では全身間代性けいれんなどという使い方を用います
熱性けいれん
熱性けいれんとは38度以上の発熱に伴う発作性疾患であり、生後6ヶ月から6歳頃までの乳幼児に起こります。
詳しいメカニズムは不明ですが、発熱に伴う脳神経の異常けいれんによるものと考えられています。
全乳幼児の約5〜10%に発症しますが、脳へ後遺症が残ることは少なく、生命に関わらない場合がほとんどです。
熱性けいれんの特徴
- 発熱後24時間以内に発症し数分間自然に収まるけいれん
- けいれんは左右対称
- 予後は比較的良好
- 原則治療は不要
※再発予防で抗けいれん薬を用いることもあります
熱性けいれんと遺伝
また、熱性けいれんは遺伝との関連があり、両親のどちらかもしくは両方が経験していると発症しやすいとされています。
熱性けいれんの再発
熱性けいれんの再発は初発の熱性けいれんと比べて約2〜3倍の確率で起こると言われています。
熱性けいれんと救急車
熱性けいれんの治療は原則不要であれば、受診はしなくても大丈夫ですか?
Nurse
大切なことは発熱+けいれんを熱性けいれんと判断しないことです
発熱に伴うけいれんには髄膜炎など他の病気が隠れていることがあります。特に、髄膜炎などによるけいれんであれば早期に治療が必要です。
そのため、短時間かつ再発の熱性けいれん以外は基本的に救急車での受診をオススメします。
短時間の判断はどれくらいですか?
Nurse
約5分を超えると痙攣重積(けいれんじゅうせき)といい重症と判断されます。しかし、救急車が到着するまでのタイムラグもあるので注意してください。
発症から5分以上続く場合は痙攣重積(けいれんじゅうせき)と判断されますが、5分経過してから救急要請した場合、救急車の到着まで更に時間を要します。
救急要請を行ってから救急隊が到着するまでに最低でも5分程度はかかります。僻地や救急要請が立て込んだ場合にはさらに到着が遅くなることも考えられます。
そのため、救急要請の目安はけいれん発作したら直ぐに救急要請して下さい。救急車が来るまでにけいれんが落ち着いていれば、状況に応じて救急車での受診を止めることも可能です。
子どもの安全のためにけいれんが起きたら、早めに救急要請をしておきましょう。
- 意識レベルの低下
- 左右非対称など特徴症状以外のけいれん様式
- 5分以上のけいれん
- 初発の熱性けいれん
上記に1つでも当てはまれば早急に受診をオススメします
救急車が来るまでに
救急車が来るまでにやるべきことは主に以下の通りです
- 周り危険なものを排除する(転落・怪我)
- けいれんの発生部位と持続時間を計測する
- 嘔吐等に伴う窒息を防止する
- 母子手帳やお薬手帳などを準備する
待ってる間は落ち着いて救急隊に情報を伝える準備と病院へ向かう準備を行って下さい。
受診後の経過
受診後は小児科または救急外来にて診察になります
重症のけいれんであれば、小児科に加え救命科も対応する場合もあります
熱性けいれんで治療が不要な場合には診察後、帰宅となることが多いです
自宅でけいれん予防薬として発熱時に使用する、小児用ジアゼパム(ダイタップ)などの坐薬を処方されることもあります
点滴・薬剤の目安
けいれんで搬送される場合は必要時、静脈路確保を行います
静脈路確保は医師の判断によりますが、以下のような場合に行います
- 繰り返すけいれん
- 5分以上続くけいれん
- 左右非対称など様式の異なるけいれん
- 採血を行う場合
Nurse
熱性けいれん以外を少しでも疑う場合には静脈路を確保し、いつでも抗けいれん薬を投与できる準備を行います
点滴は生理食塩水や1号液を使用することで、余計な電解質の過剰投与を防ぎます
抗けいれん薬は一般的にはジアゼパム(ホリゾン)を使用します
しかし、小児の場合は微量での慎重投与になるため、小児用のフェノバルビタール(ノーベルバール)を使用することが多いです
入院の目安
熱性けいれんが起きたら入院は絶対ですか?
Nurse
いいえ、入院しない場合ももちろんありますよ
入院の目安は基本的に抗けいれん薬の使用と熱性けいれん以外の疾患を疑う場合です
来院後、抗けいれん薬を使用せずけいれんが頓挫し、熱性けいれんの可能性が非常に高い場合は入院を必要としないこともあります
しかし、抗けいれん薬を使用した場合は薬によりバイタルサイン(バイタルサイン)が変動する可能性や、薬の効果が切れた際にけいれんが再発する可能性があるため、入院の適応となることが多いです
まとめ
熱性けいれんは小児では多く、また、後遺症の少ない疾患です
しかし、発熱とけいれんがある場合にも安易に熱性けいれんと思い対応が遅くなると重篤な後遺症を招く恐れもあります
けいれんに対する正しい知識を持ち、イメージをつけることで、咄嗟の状況でも落ち着いて対応できると思います