【小児外傷看護】子供が怪我した!自宅での対応と受診

救急/急変/災害/
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導入

小児救急医
小児救急医

本日は子どもの外傷です。

ママさんたちにもためになるお話です

子どもに怪我はつきもの』なんて良く言いますが、それは子どもの怪我を放っておいて良いわけではありません。

ママ
ママ

じゃあ、すぐに受診します!

小児救急医
小児救急医

それも、ちょっと待ってください!

受診にはポイントがあるのでお伝えしますね

救急外来で勤務している経験から伝えたい内容をまとめました

子どもが怪我した

子どもの怪我として多いものは以下の様なものがあります

・階段からの転落
・指を切った
・転倒
・指を挟んだ

救急外来で勤務していると、小児の患者さんも日々来院されるので対応することが多いです

大切なのは状況を客観的に把握することです

我が子であるからこそ、落ち着いて考えることが大切です


実は深呼吸も体の中に酸素を取り込むことで、脳の働きを活性化する効果や副交感神経を優位にさせてリラックスする効果があるため、医学的にも有効とされています

状況把握

確認項目

  • 怪我の部位
  • 怪我の種類
  • 怪我の程度
  • 疼痛
  • 末梢神経障害


大まかにこの5つを把握すると良いです

怪我の部位

怪我の部位は頭なのか手なのか足なのかお腹など、見えないところをぶつけていることもあるので、お話できる年齢であれば必ず症状を聞きましょう

怪我の種類

怪我の種類には以下の様なものがあります

  • 打撲
  • 擦過傷(すり傷)
  • 切創(切り傷)
  • 挫創(ぶつけて出来た傷)

怪我の種類によって、受診の必要や受診後の対応が変わってくるので種類の把握も大切です

怪我の程度


怪我の程度の評価は難しいと思いますが、傷 ・出血 ・骨』に分けて考えて考えてみると少しわかりやすいです


傷であれば範囲と深さを評価します
どの程度の範囲(何cm×何cm)なのか
深さに関しては何となくでいいです
(皮がめくれている程度、白い組織/脂肪組織が見えているなど)

出血
出血がある場合には出血の評価も行います
重要なPointは『出血が持続しているか』です
止血済みであれば出血に関して、アプローチ(治療)する必要は原則なくなります
内出血に関しては自然と吸収されていくので、多少大きく血腫(タンコブ)になっていても気にしなくて大丈夫です


打撲等の怪我の場合は骨が折れているかがPointになります
細かい骨折やヒビに関してはレントゲンを撮らないと分かりません
ただ、外傷部位の変形等がみられる場合には骨折の可能性が高いです
その他激しく腫脹している場合も骨折を疑います

疼痛

怪我の状況把握として、本人の疼痛評価も重要となります
怪我しているので痛いです
それが、どの程度痛いのかは主観的な評価になりますので痛みの強さは本人しか分かりません
そのため、看護師はスケールを用いて疼痛を評価します

会話可能な場合はNRS


今まで経験した最も強い痛みを10として0〜10で評価する


乳児、幼児などフェイススケール


1番近い顔を指さしてもらうか、1番近い顔を客観的に見て判断してもらいます

疼痛評価で大切なのは『疼痛の程度と変化』です


特に乳児等の場合は言語的表現が難しいため伝わりにくいですが、受傷時の啼泣から抱っこしてアヤした際に、泣き止むのかどうかも大切になってきます

末梢神経障害


末梢神経障害は骨折等で神経が圧迫された場合に起こります
人の体は脳から発した信号が効果器(筋肉等)へ到達することで体が動きます
その信号を伝達する役割が神経です
神経障害がある場合には後遺症のリスクもあるので要注意です

受診の必要性

結論から言うと『不要な場合』が多いです
両親が心配で病院に連れて行きましたが、問診のみで帰宅といった場合が意外と多いです
※統計ではないのであくまで個人的意見です

病院での小児外傷における処置の基本は縫合レントゲンです
特にレントゲンに関しては被曝のリスクもあるので発達段階である小児では必要時のみ行います
(予防的撮影をあまり行いません)

受診の目安

縫合が必要な傷

  • 切り傷で比較的深い傷
  • 傷と傷が離れている傷
  • 出血が止まらない

骨折

  • 明らかな変形がある
  • 末梢神経障害がある
  • 明らかな腫脹がある
  • 時間が経っても泣き止まない
  • 激しい痛みが続く(NRS8以上)

頭部外傷

  • 意識障害を一過性でも伴う
  • 痙攣等の症状がある
  • 階段10段以上など高所転落

上記に当てはまる場合は受診をオススメします

頭部外傷による受診

子どもの怪我で心配になるものとして頭部外傷は特に多いと思います
傷がある場合には上記に当てはまれば受診で良いと思います
ただし、傷等が無い場合は『基本的には不要』です
子どもの怪我は処置は上記で伝えた通り、縫合とレントゲンです
レントゲンは不透過な物(骨など)を描出する為、骨に囲まれた頭の中は撮すことができません
頭の中に異常がないか調べるにはCT検査を取る必要がありますが、CT検査はレントゲンより被曝量が多い為、基本子どもは行いません
その為頭部打撲などの場合は基本的には受診は不要です


※例外

  • 外傷後一次的に意識が遠のいた
  • 外傷後啼泣が見られなかった
  • 目の焦点が合わない
  • 意識障害を伴う
  • 痙攣を併発した

上記の場合には即受診した方がいいと思います

しかし、頭部外傷の場合は遅れて症状が出ることがあります

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受傷時に症状がなくても、上記のような症状が経過をおいて見られた場合には早期に受診をお勧めします

日中、病院行って問題なくても、夜間容態が変わることもあります
その点は予防してCT検査などが容易にできない子どもの怖いところですね

病院では頭部外傷後24時間は家でも
注意深く様子を見るよう促しています

受診の落とし穴 電話と日時

受診の目安をお伝えしましたが、判断に迷ったり、心配な時は受診しましょう


病院は安心を提供する場でもあります

不安を1日抱え込むのがストレスなら、受診して医師に診てもらいましょう

小児救急医
小児救急医

しかし、受診にあたってポイントが2つあります


・受診の前に病院に電話する
・受診は平日の昼間に行う

受診の前に病院に電話する


小児科の医師は大きい病院を除いて小児内科の医師が多いです

その為、小児外科に関して対応できない病院も多く存在します(特にクリニックなど)
かかりつけであっても受診の前に電話で受診可能かどうかを確認すると良いです

病院に迷ったら

病院に迷ったら相談窓口は必ずあります

東京であれば#7119で相談センターに繋がります

また、休日・夜間に発病した小児疾患に対応する全国同一の電話短縮ダイヤル#8000により、看護師や小児科医が相談に応じるシステムの整備が進められています

※基本的には受診をすすめられますので受診をするべきって判断した際の病院探しての活用をオススメします
(受診の必要性が低い場合でも受診を勧められることの方が多いです)

夜間などは、病状外科対応可能な病院を探してみください
休日は市が出している広報やwebで休日担当のクリニックが紹介されているのでそこから探してみるとスムーズに病院が見つけられます

受診は平日の昼間に行う
休日の診療は内科医または救命医が当直をしている為、専門医の医師はいないです
※骨:整形外科
傷:形成外科が基本専門領域です

また、休日は特に待ち時間も長く、病院によっては時間外料金が加算されることもかかります

長く待たされた挙句「大きな骨折はありませんが、小さなヒビは専門の先生にしか分からないので日中また整形外科にかかってください」なんて言われ、お金だけとられることも少なくありません

その為、休日の診療は急を要さない限り出来るだけ避けることをおオススメします

受診は救急車or自家用車

救急車と自家用車それぞれのメリットを説明していきます

救急車のメリット

・早く受診が可能
・救急車が病院を探してくれる
・重症度の判断をしてくれる
・救命士同乗で安心できる

自家用車のメリット

・自分のペースで出発、搬送できる
・病院を自分で探すことができる
・帰宅がしやすい

意識障害、出血多量など急を要する状態であれば迷うことなく救急車を呼びますよね

しかし、救急車にもデメリットがあります

救急搬送は病院に制限!?

救急車が受け入れ可能な病院は決まっています

病院は以下の3つに分類されます
・一次救急:クリニックなど
・二次救急:小・中規模病院
・る三次救急:大規模病院


一次救急
自家用車など自ら来れる患者さんを受け入れる
二次救急
軽症から中等症の患者を受け入れる病院
三次救急
重症患者も受け入れ可能な病院

救急車になると受け入れ可能な病院は二次、三次救急の病院に絞られます
大きい病院の方がいいと思うかもしれませんが大きい病院の方が待ち時間は長いですし、救急車は救命科の医師が担当することが多いです

傷の処置は形成外科の方がプロです
医師にもよりますが皮膚の寄せ方や縫い方がとても上手です

救急車は生命に関わる疾患であればもちろん必須ですが、状況に応じて自家用車での来院でも良いと思います

まとめ

子どもの怪我で受診に悩んだ時はこの記事を読み返してみてください

不安な気持ちは分かります

しかし、1時間かけて離れた病院に今すぐ行くべきか迷った時はまずは電話をして下さい

続きはこちら↓
治療や看護の基本と応急処置まとめ

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