【小児救急看護】小児の痙攣(けいれん) 痙攣重積とは

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導入

ママさん
ママさん

けいれんって体がぶるぶる震えてたらけいれんですか?

ER<br>Nurse
ER
Nurse

それは難しい判断ですね

震えていなくてもけいれんしていることもあるので注意が必要です

けいれんと言えば全身がガタガタ震えているイメージが強いと思いますが、震えていることがけいれんとは限りません

震えてないけいれんもあれば、震えているけいれんでないこともあります

救急外来で小児のけいれん患者を多く受け入れる中で、観察しているポイントが幾つかありますは

本記事では,自宅でも判断できるけいれんの観察ポイントとけいれんの中でも特に重症度の高い痙攣重積についてピックアップして伝えたいと思います

本記事の内容

  • けいれんの観察方法
  • 心因性非てんかん発作(PNES)
  • 痙攣重積(けいれんじゅうせき)

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痙攣(けいれん)の観察方法

けいれんは脳の過剰興奮によって生じる神経症状です

けいれんを見極める際には陽性症状を探すことが重要となります

陽性症状とはあるはずのない徴候です

日常で起こり得ない意識の変化があった場合にはけいれんを疑いましょう

観察のポイントはです

  • 開眼
  • 散瞳
  • 眼の偏位

いずれかの症状が見られた場合には発作の可能性が高いです

子どもであれば声をかけても反応しないことがあると思いますが、閉眼している場合には発作ではなく寝ていると考える方が妥当です

また、意識があってもガタガタ震えている場合はけいれんではなくシバリングなどの可能性が高いです

シバリングは寒気に対して体を震わせ熱を産生することで体温を上げようとする働きです

シバリングに見えても陽性症状がある時には注意深く観察しましょう

また,深昏睡(声をかけても反応がない)での開眼には四肢の硬直がなくても要注意です

てんかんに似た症状 PNES

脳の異常興奮によって起こる、てんかんに似た症状の一つに心因性非てんかん発作(PNES)があります

※PNES:psychogenic nonepileptic seizure

心因的な素因により生じるてんかん発作に似た症状で、意識的に生じる場合と無意識に生じる場合があります

脳波ではてんかん波と呼ばれる脳の電気信号は見られませんが、てんかん発作後は精神疾患を合併することも多く、てんかん発作とPNESが併発している場合があります

その場合は、てんかん発作をビデオで録画し脳波と同時記録することで見分けます

痙攣重積(けいれんじゅうせき)

歴史暦には30分以上続くけいれんを重積と定義しており、脳に後遺症が残る可能性が高くなると言われています

臨床的には30分より早期の段階で痙攣重積と判断します

  • 四肢のけいれんを伴う場合は5分以上
  • 意識障害のみの場合は10分以上

痙攣重積の場合は熱性けいれんと違い、治療は必須です

痙攣重積の原因

主な原因

  • てんかん
  • 脳炎
  • 髄膜炎
  • 脳腫瘍
  • 脳血管奇形(AVMなど)

痙攣重積の場合は原因疾患が基本的にあると考え、抗けいれん薬の投与と原因の精査が行われます

痙攣重積の処置と検査

痙攣重積で来院してきた場合には、まず抗けいれん薬の投与を行い、その後検査に進みます

主な抗けいれん薬

痙攣重積の第一選択はミダゾラムとジアゼパムです

ジアゼパム(ホリゾン)は成人でもよく使われますが投与量が小児だと少量になるため、臨床では比較的ミダゾラム(ミダフレッサ)を使うことが多いです

ミダフレッサとドルミカム

  • ミダフレッサ:10mg/10ml
  • ドルミカム:10mg/2ml

どちらもミダゾラムだが、1mg/1mlに希釈されている方が小児の場合は使用が簡便のため使われることが多い

静脈路確保が困難な場合

静脈路確保が困難な場合は別の経路から薬剤を投与します

重要な点はけいれんを早期に止めることであるため、静脈路の確保に時間を割くより即座に切り替えることも必要です

臨床では投与が容易なミダゾラムの鼻腔内投与が使われることが多いです

鼻腔・口腔内投与の場合は専用の噴霧デバイスにセットして投与します

主な検査

  • 脳波(てんかん)
  • 髄液検査(髄膜炎・髄膜腫瘍)
  • 各種培養検査(脳炎等感染症)
  • CT・MRI(脳動脈奇形)

侵襲が少なく、かつ、早期に行うことのできる検査を救急外来では行います

CTは被爆の観点から小児では出来るだけ避けたいため、可能であればMRIに切り替えます

原因を特定後は原因疾患の治療を行っていきます

成人の場合は症候性てんかんによるけいれんで、抗けいれん薬の調整などを行うことが多いですが、小児の場合は熱性けいれんを除き原因疾患が新たに見つかる可能性も多くあります

まとめ

けいれんは脳に後遺症を残す危険な疾患です

しかし、治療を必要とせず、後遺症も少ない場合も多くあります

大切なことはけいれんをよく知ることです

けいれんの持続時間や発作の様式からおおよその重症度を把握することで、正しく現状を理解し冷静に対応できるようになると思います

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