【呼吸器看護】COPDに対する食事療法と呼吸商

呼吸器
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呼吸商という言葉をご存知でしょうか。本日はエキスパートナースを参考にCOPDと呼吸商について触れていきたいと思います

今回は付録付きの看護雑誌として別の記事でご紹介したexpert nurse 2021.4月号を参考に呼吸商について紹介していきます

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は自宅でも酸素が必要となることが多い、呼吸器疾患です

COPDの対応として酸素投与や口すぼめ呼吸、活動への注意・説明はされることが多いですが、あまり食事に目が向けられることはないと思います

しかし、今回は食事の面からCOPDにアプローチし呼吸を楽にする方法を紹介します

参考資料

Expert Nurse(エキスパートナース)では患者のみかたと看護のしかたというトピックスでCOPD患者のアセスメントが紹介されています

肺の仕組み

肺とは呼吸を司る器官で、心臓(縦隔)を挟む形で左右に1つずつ存在します

更に肺は葉と呼ばれる部屋に分かれており、左の肺は上葉・下葉の2部屋に、右の肺は上葉・中葉・下葉の3部屋に分かれています

解剖学的には主気管支、細気管支、肺胞で肺を形成しており、上気道(口や鼻、咽頭、喉頭)からの空気は気管を通過後主気管支に入り、肺胞に到達します

形としてはブドウの様なイメージです

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主気管支から枝分かれし、その先に付いている袋状の肺胞から酸素を取り込みます

肺胞の様に丸い構造を連ねることで、表面積が大きくなりより効率よく酸素と二酸化炭素の交換を行うことができます

肺は口から流入した空気を血中の二酸化炭素と交換することで血中に酸素を取り込んでいます

CO2(二酸化炭素)はどこから

肺から取り込んだ酸素を基に人はエネルギーを生成します

酸素を基に多くのエネルギーを生成し、その副産物として生成されるのがCO2です

CO2は体内で多く生成されると言うことになります

CO2は主に血中ではHCO3-(炭酸水素イオン)に分解され、肺へ運ばれます

肺で再びCO2に再構成され、O2と交換することで血中に酸素を取り込み二酸化炭素を排出します

喚起障害による影響

もし、酸素と二酸化炭素の交換が行えないと体内には二酸化炭素が蓄積します

二酸化炭素は血中では炭酸水素イオンになる際に水素を遊離する為、血中のPhは酸性に傾きます

=アシドーシスになるのです

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また、血液中の酸素が少ないとエネルギーを産生するために解糖系を用いることになりエネルギーの酸性効率が非常に低下します

COPDとは

COPDとは閉塞性喚起障害に分類される疾患で、慢性閉塞性肺疾患の略称です

特徴

  • 90%はタバコが原因で発症の生活習慣病である
  • 有害物質が原因で肺胞の弾性力低下、及び気管支の慢性炎症が起こる
  • 気管支に炎症が起こることで空気がうまく吐き出せなくなる
  • 症状は呼吸苦、咳嗽、喀痰など
  • 検査はスパイロメーターで計測(1秒率が気管支拡張薬吸入後70%未満)
  • 治療は禁煙と薬物治療(気管支拡張薬)

慢性閉塞性肺疾患になると不可逆的に肺が障害され、吐き出す際に口を窄める様な吐き方になったり軽労作でも呼吸苦に陥ったりします

VSでは動脈血酸素飽和度(SpO2)もベースが90%程度まで低下します

COPDになると体内にCO2が蓄積しやすくなる為、増悪と共に呼吸状態の悪化、最悪の場合は人工呼吸器が必要になる場合もあります

COPDと呼吸商

タバコによる肺障害は不可逆的と言われています

ニコチンによる有害作用は禁煙と同時に効果が出ますが肺への障害は一生残ります

その為、肺の障害そのものは治療できませんが日常生活を有意義に送るために行える事の一つに食事療法があります

呼吸商の観点からCOPDには脂肪食が良いとされています

呼吸商とはエネルギーを産生する際に必要とする O2の量と発生する CO2の量です

つまり、O2の量に対してCO2の量が少ない程呼吸商は小さくなる

=体内で発生する二酸化炭素の量が少ない

糖質と脂質で比較すると以下の様になります

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糖質からエネルギーを産生する際にはO2と同等のCO2が必要となります(呼吸商 1.0)

対して、脂質からエネルギーを産生する際には O2に対して7割のCO2しか産生されません

まとめ

COPDには脂肪食が良い

COPDは呼気が困難になる慢性疾患です

不可逆的な障害の中で重要になるのは関わりです

食事を変えるだけでエネルギーを産生する際のCO2生成量が減少し、呼気を助けることにつながります

エネルギーもCO2も目には見えない産物ですが、日々の積み重ねは必ず体に成果として現れます

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