導入
コロナが蔓延して約1年半経ちましたが、医療もコロナに伴い大きく変化しています
1番の変化は医療従事者だけでなく全ての人が行なっている『感染対策』です
マスクの着用は必須となり、病院ではゴーグルの着用も粘膜感染防止のために使用しています
本日はコロナで変わった急変対応です
昨年東京防災救急協会が開催している上級救命講習にも参加させて頂いた為、それも踏まえて説明したいと思います
一次救命処置は医療従事者関係なく全ての人が知っているべき事柄ですので、少しでも興味を持ってもらえると嬉しいです
上級救命講習リンクはこちら↓
内容はBLSで、消防庁の救命士などが講習してくれます
ICLSコースの導入でもBLSを行うので、触れる機会はとても多いと思います
(私は学生の時と2回受講しました)
今の時期はコロナの関係で1グループ10人に対して講師4人程度の少人数で行えるので、ぜひ興味があれば参加してみてください
内容
- 一次救命処置における感染対策
- 急変時の蘇生におけるガイドライン
参考資料
ICLSコースガイドブック
ICLSコースガイドブックは急変に備えて看護師は持っているだけで学びになります
『急変時の薬剤に不安』『挿管の介助やAEDの使い方が心配』など急変に自信がない場合には買って読んでおくだけでも自信になります
また、ICLSの講習でも使うので興味がある方は買ってみてください
月刊ナーシング 8月号
※ネット上では品切れのためリンクはありません
コロナの蘇生対応ガイドラインの他、検査についても細かくなっているのでとても為になる一冊でした
一次救命処置とは
そもそも、一次救命処置とはなんですか?
Nurse
一次救命処置とは傷病者の発見から病院で治療を行うまでの処置のことを言います
一次救命処置は主に病院前の処置を表しており、病院前診療(プレホスピタル)での活動を意味します
主な意義は人命救助であり、素早い対応と病院への搬送が役割となります
一次救命処置の流れと変更点
倒れている人を発見
感染防御・周囲の安全確認
外で倒れている人を発見した場合は道路など危険な場所でないかを確認します
危険な場所であればまずは移動することを最優先しましょう
外傷の場合は脊椎損傷の可能性もあるので、一人で無理に引っ張るのではなく安全を確保しながら、人員確保を優先
医療現場では脊椎損傷の疑いのある患者さんにはログリフトを行い対応しています
脊髄損傷とログリフト
体の軸と呼ばれる脊髄の中には神経が通っています
脊髄に障害を受け、脊髄内部の神経が損傷するとその部位の神経が司る運動機能や感覚機能が失われます
神経が損傷する原因として、外傷を受けた際の一次損傷とその後体動によって損傷する二次損傷があります
移動の際には後者である二次損傷のリスクが伴うため、ログリフトを用いることで首や体幹の捻転を防止し、二次損傷を防ぎます
人がある程度(7人くらい)集まったら脊椎を曲げないように体幹及び首を支えながら移動すると良いです
感染防御は手袋を日常的に持っている人は少ないと思うのでビニール袋やエコ袋などに手を入れ対応すると良いです
(特に外傷などで血液が付着する場合は必須)
声かけ
「大丈夫ですか」などと声をかけながら両肩を叩くことで意識を確認します
意識障害の原因として脳出血などが挙げられます
麻痺などが生じている場合には麻痺側の肩では知覚が鈍い可能性があるため、原則両肩を叩いて声かけを推奨しています
脈の確認・呼吸確認
意識がない場合は、傷病者の口元に顔を近づけて呼吸及び胸郭の上がりを確認する
同時に医療従事者であれば頸動脈に触れ触知します
これは従来の方法であり、今回コロナによって変わった内容です
従来の一次救命処置では口元に顔を近づけることで呼気を感じとり、可能な限り水平に胸部を見ることで胸郭の動きを確認することを推奨されていました
しかし、口元に顔を近づけることは感染のリスクもあり、現在では口元から離れたところで呼吸の確認を行います
少し、従来より見にくくはなりますが、明らかに息をしていると感じ取れなければCPA(心肺停止)と判断して良いです
呼吸や脈の触知にかける時間は『10秒以内』です
応援要請・CPR(心肺蘇生)開始
呼吸もなく脈も触れない場合は応援要請し心肺蘇生を開始します
応援要請は救急車を呼ぶ人、AEDを持ってくる人最低2人はいるのが好ましいです
心肺蘇生は『質の高い胸骨圧迫』が最優先です
可能であれば2人胸骨圧迫をできる人を準備しましょう
Nurse
胸骨圧迫と人工呼吸の比率はいくつでしょうか?
胸骨圧迫:人工呼吸
=30:2です!
Nurse
その通りです
ただ、感染対策で現在は少し異なって教えています
胸骨圧迫:人工呼吸=30:2
この比率で胸骨圧迫と人工呼吸を行うことで心配蘇生を行います
しかし、これも従来の心配蘇生の原則です
人工呼吸は新型コロナ感染のリスクから行わないのが基本であり、非接触用の一方弁付きマスクを持っていても、原則胸骨圧迫のみで対応します
その分、質の高い胸骨圧迫を心がけて行います
AED装着
AEDの電源をつけパットを装着、機械の音声に合わせて対応します
- 水濡れ
- 体毛
- ペースメーカー
- 薬剤などの貼付薬
- ネックレスなどの金属
この5つを貼る場所にないか確認して、パットは貼ってください
まとめ
新型コロナの感染により今は口元に近づかないことが原則に変化しています
呼吸がある場合には可能な範囲でハンカチを当てたり、マスクをつけるなどの対応を取ることで感染予防を行います
病院でも顔と酸素マスクの間にサージカルマスクをつけることで感染予防を図っているように、緊急時だからこそ感染による急変などの可能性も考慮し対策に努めていくことで自身を守ることに繋がります
医療従事者の方はBLSやICLSは受講しておくと、院内急変などの際に落ち着いて対応できます
BLSの詳細についてはICLSコースガイドブック参照してください↓
おまけ 急変次の蘇生におけるガイドライン
BLSに加えてACLS/ICLSもコロナで大きく変わっています
少し古い雑誌になりますが、月刊ナーシング 2020年 08月号 に掲載されていたのですか紹介します
世界の蘇生対応ということで英国蘇生協議会が蘇生の際の感染防御のガイドラインを作成しています
大きく変わったのは蘇生時緊急であっても、CPRの際にはPPEを行うことがガイドラインに記載されています
特に今はマスク・ゴーグル・エプロンは必須であり、私の病院でも挿管時などは基本的に N95を着用し介助を行います
一次救命処置で行う感染防御同様、緊急であるからこそ自分を守れる看護師を目指しましょう
雑誌は最新の情報が満載なので、定期購読でなくても、 気になる見出しのものは 購入をオススメします
感染対策は日常化していれば苦にはならなくなります
外出前後の手洗いやマスクの付け方、手指消毒の持ち歩きでさえ今はやり過ぎではない時代です
時代の変化に合わせた正しい感染対策を大切にしましょう
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