【薬の看護】食べ物・飲み物との組み合わせに注意する薬剤

薬の看護
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初めて新しい薬を飲む時、薬の飲み方を気にする方は多いと思います。

水で飲めば問題ないのは間違いないですが、水道水で飲みたくない方や飲料水しか手元にない場合、気をつけて欲しい飲み物がいくつかあります。

また、同様に摂取すると薬に影響を及ぼす食べ物も存在します。

本記事では、薬を飲む際に注意して欲しい食べ物や飲み物をいくつかご紹介します。

参考資料

参考資料は病棟でよく使われる薬という参考書です

この本は照林社から出版されている本で、病棟主に使われる薬を降圧薬、利尿薬、睡眠薬といったようにカテゴリーを絞って解説しています

本の特徴を以下にまとめてみました

本の特徴

  • オールカラー
  • イラストを多く使い分かりやすく解説
  • 同じカテゴリーの中でも薬の使い分けを掲載
  • 各カテゴリーごとに薬剤一覧を一般名及び商品名付きで紹介

この本は薬の作用機序についても分かりやすく書かれており、薬剤師以外の医療職種、新人、経験豊富な人であってもバランス良く使える一冊です

薬との相互作用

相互作用とは組み合わせにより影響を及ぼし合う事であり、薬においては食べ物や飲み物によって相互作用が起こるものが多くあります

薬を飲む際に相互作用の心配がない飲み物は水道水麦茶です

ミネラルウォーターも一見、水に見えますが、相互作用を発揮する薬剤もあるため注意が必要です

薬の特徴を踏まえて相互作用を後述していきます

カルシウム拮抗薬とグレープフルーツ

高齢者で有れば比較的多くの人が飲んでいるカルシウム拮抗薬はグレープフルーツと飲むことで相互作用を発揮します

カルシウム拮抗薬とは

  • シンニジピン/アテレック
  • アゼルニジピン/カルブロック
  • ニフェジピン/アダラート
  • ベニジピン塩酸塩/コニール
  • アムロジピンベシル酸塩/ノルバスク

カルシウム拮抗薬とは主に降圧薬として使われる薬です

血管平滑筋においてカルシウムイオンの細胞内流入を抑制し、血管平滑筋細胞を弛緩させることで末梢血管抵抗を減少させます

最も降圧効果が強く降圧薬として良く使われる薬です

グレープフルーツとの相互作用

一部のカルシウム拮抗薬ではグレープフルーツあるいはそのジュースと一緒に摂取することで血中濃度が上昇し過度な降圧をきたします

カルシウム拮抗薬は内服後、小腸粘膜と肝臓で代謝され、残った約15%が血中へ入ることで降圧効果を発揮します

しかし、グレープフルーツを摂取することで小腸粘膜にある代謝酵素(CYP3A4)が阻害されるため、肝臓のみで代謝され血中で効果を発現します

その場合の薬剤量は約45%で、グレープフルーツを摂取していない時と比べて約3倍の差があります

ワルファリンカリウム(ワーファリン)とビタミンK

心筋梗塞や脳梗塞の基礎疾患を持つ人には馴染みが深いワーファリンはビタミンKに注意が必要です

最近では抗凝固薬としてリクシアナなどの直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)ドアックを内服する人も増えていますが、腎機能に問題がある場合にはワーファリンを選択されることも多いので相互作用が重要となります

ワルファリンカリウム(ワーファリン)とは

ワルファリンカリウム(ワーファリン)とは抗凝固薬の一つであり、血液中の凝固因子が働くことで作られるフィブリンの形成を防ぎます

一次血栓と二次血栓

血栓の形成には2種類あり一次血栓に働くものを抗血小板薬、二次血栓に働くものを抗凝固薬と呼びます

  • 一次血栓:損傷部位に血小板が凝集し傷を塞ぐ
  • 二次血栓:血液中の凝固因子(トロンビンなど)とビタミンKが関与しフィブリンと呼ばれるのりのような物質を作り、より強力な血栓が完成する

ワルファリンカリウムは二次血栓に関与する、ビタミンKの作用に拮抗する事で抗凝固作用を示します

ビタミンKとの相互作用

ワルファリンカリウム(ワーファリン)は前述の通りビタミンKに拮抗することで効果を発現するため、ビタミンKを摂取してしまうと効果が半減します

ビタミンKが含まれている食品一覧

青汁やクロレラなどもビタミンKを多く含みますが、禁止する食品の中でも納豆には特に注意が必要です 

納豆はビタミンKが多い上に、納豆菌が腸内で更にビタミンKを再生するため、少量の納豆摂取でもビタミンKが大幅に上昇します

また、納豆のビタミンKへの影響は数日続くと言われているため、ワーファリンを内服している場合は時間が空く場合でも摂取を控えて下さい

DOACとビタミンK

DOAC(direct oral anticoagulant)とは直接作用型経口抗凝固薬の略称であり、主に以下の4剤を示します

  • ダビガトラン(プラザキサ)
  • リバーロキサバン(イグザレルド)
  • アピキサバン(エリキュース)
  • エドキサバン(リクシアナ)

DOACはビタミンKに拮抗することなく、直接凝固因子であるトロンビンなどを阻害し抗凝固作用を発現するため、ワーファリンと違いビタミンKに注意する必要はありません

プレタールとグレープフルーツ

プレタールはカルシウム拮抗薬と同様に、CYP3A4という酵素によって代謝され肝臓で排泄されます

グレープフルーツにはCYP3A4を阻害する成分が含まれるため、摂取するとプレタールの効果が強くなり出血リスクが高まります

阻害作用は数日続くため、プレタールの内服と間隔をあけても、グレープフルーツの果肉やジュースを摂取してはいけないです

リスペリドン(リスパダール)と飲料水

リスペリドンは1996年に発売された日本で最初の非定型抗精神病薬です

今でも病院等で広く使用される薬ですが、飲み合わせに注意が必要です

リスペリドン(リスパダール)とは

リスペリドン(リスパダール)は統合失調症に用いる薬ですが、興奮や錯乱が強い場合には睡眠薬としても用いられます

定型抗精神病と比べると少ないものの錐体外路症状には注意が必要です

錐体外路症状とは

  • 錐体路:随意運動(意思にて動く)神経経路
  • 錐体外路:不随意運動(意思とは無関係に動く)神経経路

抗精神薬の長期服用によって脳内の神経伝達物質(ドパミンなど)の遮断によって錐体外路が障害されると症状が起こります

錐体外路症状は大きく分けて不随意運動の亢進または低下に分けられます

  • 不随意運動の亢進:強直、固縮など
  • 不随意運動の低下:ジストニア、ジスキネジア、ラビット症候群など

また、細粒、内用液、OD錠など形状が複数あるのも特徴です

飲料水との相互作用

リスペリドンの形状が複数あることは上述しましたが、その中でも内用液は相互作用があるため注意が必要です

リスペリドン内用液は茶葉抽出飲料(紅茶、ウーロン茶、緑茶)およびグレープフルーツと混合すると明らかな成分の含量低下が認められるため、これかの飲料との服用は避けて、水との服用をお勧めします

抗生剤と飲料水

感染症の鍵となる抗生剤ですが、抗生剤の中でもセフェム系、ペニシリン系など大まかに系統が分かれています

その中でもテトラサイクリン系とニューキノロン系は相互作用を発現する飲料水があるため注意が必要です

テトラサイクリン系とニューキノロン系

抗菌薬には内服薬と注射薬がありますが、同じ系統、同じ種類の薬剤であっても内服薬か注射薬かによって、目的とする効果や対象とする感染症が大きく異なります

ニューキノロン系やテトラサイクリン系、その他にもメトロニダゾール(ニトロイミタゾール系)、クリンダマイシン(リンコマイシン系)、サファクロル(セフェム系)、リネゾリド(オキサゾリジノン系)などは経口吸収が良好です

そのため消化器機能障害等がなければ、注射薬と同じ容量で内服可能です

ニューキノロン系

  • レボフロキサシン水和物(クラビット)
  • シプロフロキサシン塩酸塩(シプロキサン)

マクロライド系

  • クラリスロマイシン(クラリス)
  • アジスロマイシン水和物(ジスロマック)

飲料水との相互作用

テトラサイクリン系やニューキノロン系はカルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ランタンまたは鉄材と一緒に服用すると抗菌薬の吸収が低下し効果を発現できなくなります

そのため、カルシウムを多く含む牛乳はもちろん、ミネラル分を多く含むミネラルウォーター(硬水)で飲むことも吸収低下の原因になります

そのため、牛乳やミネラルウォーターを飲んでから2時間以上空けての服用が望ましいです

水道水のほとんどは軟水であるため水道水での服用は問題ありません

まとめ

薬を飲む際に何気なく避けている飲み物や食べ物は幾つかあると思いますが、組み合わせや仕組みを理解することで、曖昧な知識が明確になりより意識の向上につながると思います

また、知らなかった組み合わせがあればこれを機会に正しい知識を身につけて、日常の内服管理に役立ててみてください

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