【救急看護】初心者必見!看護師が伝えるエコー検査の基礎

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本記事では看護師が捉えるエコーの必要性やエコーの見方について一緒に学んでいきたいと思います

エコーといえば医師や臨床検査技師が行なっているイメージが強いですが、侵襲的な検査ではないことから特に独占業務とはなっていません

しかし、現状では検査の難易度や特異性から看護師が病院で実施されることは少ないです

今回はエコーを実際に看護師として実践した、結果を踏まえてエコーの基礎的な見方をお伝えしていきます

参考資料

ナースのためのポケットエコー実践ガイド

 

ナースのためのポケットエコー実践ガイドはポケットエコーを元に簡易的に全身の観察方法を紹介しています

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エコーで様々な臓器の見方を幅広く学びたいのであれば、間違いなくこの本がオススメです!

症状別でエコーの当て方や見える画像などが書いてあり、とても分かりやすいです

他の参考書では褥瘡評価や点滴留置に用いるエコーを重点的にピックアップしていることに対し、この本はエコーをアセスメントに活用する方法に重きをおいて記載しています

ポケットエコーの範囲でできる観察のため、心エコーの細かい評価や通常のエコーの操作方法(ボタンの意味や操作方法など)は記載されていないので注意が必要です

月刊ナーシング 2021.4 増刊号

この雑誌では画像検査の一例としてエコーが紹介されています

看護雑誌としてはエコーの特集は珍しく、基礎的な部分の解説は分かりやすくとても充実しています

エコーの読み方 活かし方

こちらの本はナースのためのポケットエコー実践ガイドとは異なり、褥瘡評価や静脈路確保におけるエコーの活用方法を細かく記載しています

褥瘡評価や通常のエコーの操作などはこちらの方が細かく載っていました

また、エキスパートナース2023年5月増刊号でも画像検査について紹介されており、その一例としてエコーの読影方法もピックアップされていました

expert nurse 2023.5 増刊号

エコーの需要が増えるとともに看護師がエコーを学ぶ場は少しずつ広がってきている気がします

エコー(超音波)検査とは

エコー(超音波)検査とは体の表面に超音波のプローブを当てることで、体内の臓器からはね返ってくる超音波を画像として描出する検査です

所要時間は外傷の簡易的評価であるFAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma)など30秒程度で評価する時もあれば、15分程度かけて細かく検査する時もあります

エコー検査のメリット

  • 簡易的に検査できる
  • 侵襲が少ない
  • ベッドサイドで実施できる
  • ポケットエコーであれば持ち運びも容易

エコー検査は手軽に臓器や出血を精査できる無痛・安全・手軽の三拍子が揃ったとても便利な検査です

聴診器を持って医師が回っていた時代から、ポケットエコーを片手に持ち歩く医師もいるほどエコーが検査・診断において重要な役割を占めます

エコー検査のデメリット

  • プライバシーの配慮が必要
  • エコー検査で不十分な疾患や病態も多々ある
  • 実施者の技術によって大きく左右される

エコー検査は簡易的に評価できる反面、CTやMRIの方が適切に状態を確認できることが多いです

また、脳疾患などは骨で覆われており、エコーが関与できない範疇であるため適応外になります

その中でも1番なデメリットは技術力が不可欠な点です。エコー検査は実施者の技術力が必須であり、経験不足により重要な所見を見落としてしまったり適切に評価できないこともあります

技術力を補うためには練習が必要ですが、エコーは実践でのみ培われる技術です

看護師がエコーを実施できる機会はほとんどないことが、看護師がエコーに対して抵抗感が強い要因の一つでもあると思います

看護師が捉える超音波検査(エコー)

先ほど紹介した月刊ナーシング増刊号ではエコー検査の基礎が載っています

エコー検査を実施できるにも関わらず実施しない、エコー検査の画像評価を行わない看護師が多いのは難易度が極めて高いことが挙げられます

しかし、看護師がIVC(下大静脈)をエコーで評価し血管内脱水の有無が分かるようになればより良い看護に繋がると思います

また、心エコーの判読ができるようになると弁の状態なども含めた総合的な心臓の評価が可能です

急変から医師が到着するまでの間や症状出現時に看護師ができることが増える方が患者の救命率は向上すると思います

看護師がエコーを使いこなす時代がくるまで、経験値を少しずつ積み立てて実践で活用できるようにエコーの基礎をお伝えしていきます

超音波(エコー)検査の基礎

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ここでは、エコー検査の仕組みやプローブの当て方、画像の簡単な見方を紹介していきます

エコー検査はプローブ(探触子)を用いて行うため、当てる角度や向きによって画像は様々な形で描出されます

ですが、仕組みはいたって簡単なので、ここだけは押さえておきたいポイントは以下の内容です

  • エコー検査とはプローブ(探触子)から発信される超音波(エコー)が跳ね返る現象を利用して行う検査のこと
  • 跳ね返ってくる画像は白.跳ね返らない画像は黒になる
  • 血液.液体.嚢胞など:黒
  • .空気.臓器.横隔膜など:白

硬いものが基本的に白ですが、例外として空気は白く描出されます

音の伝わる速さは個体>液体>気体の順で遅くなり、超音波(エコー)装置は水中の音速(1,500m/秒)として画像を描出します

水中より音速が速くなる骨や、遅くなる肺や消化管などの気体を多く含む臓器は画像を描出できないため白く映るのです

エコー検査を用いる診療科

エコー検査を用いる診療科は様々ですが、下の表を見て分かる通りほぼ全ての診療科でエコー検査は使われています

エコーの有用性はそれだけ高く、また、幅広く活用できることが表を見ると分かると思います

診療科エコー活用
内科
精神科
神経内科
呼吸器科
消化器科
循環器内科
小児科
整形外科
形成外科
美容外科
脳神経外科
呼吸器外科
性病科
肛門科
産婦人科
泌尿器科
皮膚科
心臓血管外科
眼科
耳鼻咽喉科
放射線科
麻酔科
心療内科
リウマチ科
リハビリテーション科

プローブの種類と使い分け

エコーにおいて欠かせないのがプローブですが、プローブにもいくつか種類があり用途によって使い分けています

プローブは超音波を送信して反射波を受信する働きがあり、送受信する周波数(1秒間に振動する頻度)で形状や機能が異なります

主なプローブはコンベックス型.リニア型.セクタ型の3種類です

コンベックス型プローブ

  • 主に腹部領域に用いられる
  • 最も多く利用されるプローブで比較的体表から深いところの臓器を観察するときに用いる
  • 被験者の体に接する面が曲線状になっており、広い範囲の観察が可能

リニア型プローブ

  • 体表に近い部分を観察するためのプローブ
  • 乳房(乳腺)、甲状腺、頸動脈、下肢血管、皮下腫瘤、褥瘡などが対象
  • 深い部分は観察困難

セクタ型プローブ

  • 薄く小型の形状
  • 肋骨の間から心臓を見るために作られたプローブ
  • エコーが大きく広がって発信されるため深い部分の画像は粗くなる

ポケットエコーなどで用いられるデュアルプローブは両側に異なるタイプのプローブが搭載されており、1本でリニア型とセクタ型の両方が使用可能

まとめ

  • 硬いものと気体は白く描出、水分などの液体は黒で描出
  • プローブの種類はコンベックス型.リニア型.セクタ型の3種類

エコー検査の仕組みは、硬いものにあたると超音波が跳ね返る原理を利用したものになります

仕組みは至ってシンプルであり、安全かつベッドサイドでも実施可能な理由から救急外来、病棟や手術室などあらゆる場所で活用されています

あまり練習できない点や各臓器ごとに画像を描出するため全体像が見えにくい点などデメリットもありますが、エコーを有意義に活用することで低侵襲かつ安全に検査を実施することができます

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エコーの仕組みを理解することが、エコーを学ぶための第一歩です

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