【診療科情報】救急外来の仕組みと特徴

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今回は救急外来について紹介します

新人看護師
新人看護師

救急外来ってなんだか大変そう

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命を救う場なので大変な場面もありますが、救急外来は決して怖い場所ではありません

救命外来は特殊性が高い関係もあり、多種多様なイメージを各々が持っている場合が多いです

特に患者さんからは『怖そう』『大変そう』『厳しそう』と言った意見が多く、看護師からは『カッコいい』『凄い』などと言った意見が比較的多く聞かれます

救急外来への配属を目指す新人看護師さんも少なくありません

ここでは救急外来をより知って、漠然としたイメージを明確化して欲しいです

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今回は救急外来の仕組みについて説明します

救急外来はクリニックや一般外来と受診の方法も診察の流れも大きく異なります

今回の記事では救急外来の受診から診察の流れ、受診料についても解説していきます

救急外来の仕組みは病院によって異なりますので、今回は一例です

救急外来の仕組み

まず初めに、救急外来がどのような仕組みで成り立っているかを説明していきます

救急外来において最大の特徴は多科・多職種が関わることです

救急外来の受け入れは主に電話から始まります

例外的に院内急変や事前連絡なしの受診もありますが、基本的には電話で受診の有無を確認します

救急外来への受診方法は主に3つに分かれます

一次救急

一次救急は自力で受診できる救急患者を指します(車・交通機関・介護タクシーなど)

日中は各科に受診するため受診する事はないですが、夜間や休日などは救急外来で対応します

救急外来での対応は基本的に応急処置のため、緊急性によっては日中の受診を勧める場合もあります

また、かかりつけの病院がある場合は基本的にはかかりつけの病院への受診を勧めることが多いです

二次救急

二次救急は三次救急以外の救急車で搬送される救急患者を指します

病状は軽症から中等症の患者さんが主で、救急隊からの情報を基に受診の有無を検討します

救急車の受け入れを行っている病院(二次救急指定病院以上)にのみ受診が可能です

二次救急医療機関の基準

  • 24時間体制の救急病院(精神科救急を含む)、病院群輪番制病院、共同利用型病院、有床診療所が該当
  • 入院治療を必要とする重症救急患者の医療を担当する医療機関と定義されている。

三次救急

三次救急は救急搬送される中で高度な治療を有する救急患者を指します

疾患としては重症外傷(高エネルギー外傷).薬物中毒.心肺停止などでショックなど全身状態(VS)が不安定な場合にも選定されます

三次救急指定病院は県内にも数ある程度しかないため、三次救急指定病院の中で近い病院に基本的には受け入れ要請を行います

また、三次救急の原則は高度の救命であるため、治療を希望しない(DNAR/Do Not Attempt Resuscitation)場合には除外されます

三次救急医療機関の基準

  1. 緊急性・専門性の高い脳卒中・急性心筋梗塞などや、重症外傷などの複数の診療科領域にわたる疾病など、幅広い疾患に対応して、高度な専門的医療を総合的に実施する。
  2. その他の医療機関では対応できない重症患者への医療を担当し、地域の救急患者を最終的に受け入れる役割を果たす。
  3. 救急救命士等へのメディカルコントロールや、救急医療従事者への教育を行う拠点となる。

※救命センターの機能に加えて広範囲熱傷や四肢切断、急性中毒などの特殊疾病患者を受け入れる病院を高度救命救急センターと呼ぶ。

救急外来における診察

救急外来に受診後、基本的には救命科の医師が診察を行います

救命科の医師は救命に特化しているため幅広く救急疾患を診ることができます

来院後、症状や血液検査、CTなどの画像検査を行い、命に関わる疾患の治療に尽力します

また、気管挿管などの救命処置にも長けている場合が多いです

救命科での診察後、専門科での治療が必要であれば専門科へ診察を依頼します

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Nurse

消化器疾患であれば消化器内科あるいは手術が必要なときには消化器外科に依頼します

しかし、救命科の医師の中でも、消化器など特定の科の専門医をとっている医師も存在します

その場合には消化器疾患であっても救命科の医師が対応することもあります

その他、最初から専門医に診察を仰ぐ場合や病状によっては救命医のみで対応を行う場合など状況に合わせて臨機応変に対応します

患者さん
患者さん

救命科の先生と専門の先生、両方に診てもらえるなんて手厚くていいですね!

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そうですね

ただ、必ず専門医に見てもらえるとは限らないので注意が必要です

多くの病院は夜間休日、救命科の医師が常駐し、各専門科の医師はオンコール体制(常に電話連絡がつく状態)にしています

夜間休日は救命科のみが対応する病院や24時間全部の診療科の医師が常駐している病院もあるので病院によってバックアップ体制が大きく異なります

救命科のみの対応の際は対症療法のみ行い、後日専門の科にかかることや入院して翌日専門科に転科することもあります

救急外来の診察室

救急外来の診察室の一例を下記に示します

一般的には重症患者を受け入れる病院であれば重症患者用の処置室(図/ベッド②)を設けており、その他の救急患者を全体が見渡せる部屋(図/ベッド①)で診察します

病状が落ち着いており、点滴終了を待っている場合や休憩が必要な場合は別室のベッド(図/ベッド③)に移動します

また、病院によっては1泊入院のみの簡易的な病室を用意していることもあります

大まかにこれらのベッドの振り分けで救急患者を受け入れます

病院によってベッドの数や救急外来の形態に違いはありますが、どんなに大きな病院であっても診察できるベッドの数は限りがあります

救急患者受け入れるためには、適切な診察とともに重症度を即座に判断し、診察室が満床で受け入れできない事態を防ぐことが大切になります

救急外来のメリットとデメリット

救急外来で診察するに当たっての良い点と悪い点を以下に示します

メリットデメリット
・挿管などの救命処置がスムーズにできる
・幅広く病状の原因精査を行うことができる
・夜間休日受け入れも可能
・救命科で診察後、適切な科にコンサルトできる
・重症患者は優先して対応
・救急車を受け入れ可能
・診察に時間がかかる
(救命科と専門科が診るため)
・救命医のみの診察で終わる場合もある
・待ち時間が長い
・救命科と専門科の診療費がかかる場合がある
・一次救急は受け入れ困難な場合が多い

救急外来は重症患者を受け入れるために、命に関わる可能性が高い患者を優先して受け入れ、治療を行います

そのため、状況によっては日中各科に受診した方が良いことも多くあります

救急外来の受診料

気になる受診料ですが夜間料金で診療費が変わることはありませんが、病院によっては時間外選定療養費などがかかることがあります

時間外選定療養費とは夜間や休日など、通常診療以外の時間に選定したことに対する料金です

入院適応でなく緊急性が低いと判断した場合には受診料とは別に料金が加算されます

救急患者を受け入れる病院では、重症患者への対応を最優先したいため、緊急性の低い救急患者の受け入れを減らす目的で設けています

時間外選定療養費は一般的に8,000〜10,000円で設定されることが多いです

また、救命科による入院の場合、救命病棟への入院の可能性が高いのですが、救命病棟は一般病棟と比べて1日あたりにかかる入院費用も高いので注意が必要です

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救命病棟に入院で1泊1万円なんてこともあります

まとめ

  • 救急外来の受診は一次救急から三次救急の3パターン
  • 診察は救命科&必要に応じて専門の科
  • 救命科は救命処置のエキスパート
  • メリットとデメリットがあるので考えて受診が必要

救急外来は主に救急での治療を必要とする人のための外来です

救急車を使えば病院を探す手間や搬送も救急隊が行ってくれますが、病院が見つからないことや搬送後も軽症と判断すれば重症患者を優先して待たせてしまうこともあります

心肺停止や意識障害など緊急を要する場合を除いて、救急外来を受診するメリットはあまりないので日中専門科を受診することをオススメします

受診しようか困った場合には救急車を受け入れている病院であれば、連絡もつながるので一度受診の相談をするのも良いと思います

また、東京都であれば『♯7119』で救急相談センターに繋がるので受診に迷った場合には相談センターの活用も視野に入れてみると良いです

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