導入
5%ブドウ糖液はどんな時に使うんですか?
Nurse
5%ブドウ糖液の特徴を捉えると有用性が理解できます
救急外来では5%ブドウ糖液をメインとして選択することは少ないですが、特定の場面で推奨される重要な輸液です
病棟で血管内脱水の患者に5%ブドウ糖を使用している場面があり、なぜ細胞外液でなく5%ブドウ糖液を選択したのか疑問に思い調べてみました
そこには電解質が大きく関わっており、今回の記事では5%ブドウ糖液の特徴を踏まえて紐解いていきます
5%ブドウ糖液とは
輸液は大きく分けて3種類あります
- 高張液
- 等張液
- 低張液
高張液とはカリウム製剤など電解質を多く含んでいる輸液であり、一般的にメインの輸液になることはなく他の輸液と複合して使用します
等張液とは生体と同じ0.9%の濃度で作られた輸液を表し、生理食塩液やリンゲル液、5%ブドウ糖液が代表的です
低張液は生理食塩水とブドウ糖を混合させたもので、1号液(開始液)から4号(術後回復液)に分類されます
ブドウ糖はなぜ5%
生理食塩水はナトリウムとクロールの量を調整して0.9%の濃度にしています
対してブドウ糖は糖の量を調整することで、生体と同じ0.9%の濃度にしています
0.9%の濃度になるブドウ糖の量が5%なんですね
Nurse
その通りです。5%である必要性がそこにあります
ブドウ糖液は等張液であり低張液
5%ブドウ糖液は等張液ですが、血管内に入ると速やかに代謝され浸透圧0の真水の状態になります
浸透圧が0の場合は以下のように分布されます
細胞内:間質:血管内=8:3:1
5%ブドウ糖は血管内に1/12入ることになります
5%ブドウ糖液の使い方
ブドウ糖の特徴は以下の通りです
- 真水にブドウ糖を5%加えることで等張液にしている
- 5%ブドウ糖は体内に入ると代謝され真水になる
- 分布の割合は細胞内:間質:血管内=8:3:1
上記の点から見ると血管内脱水の症例には一見不向きに見えます
実際に血管内に入る輸液の量は微量でしかありませんが、5%ブドウ糖液には他にはない特徴があります
5%ブドウ糖液の成分は以下の通りです
電解質が含まれないことから、5%ブドウ糖液は高Na血症などの電解質異常に有用と言えます
5%ブドウ糖と高Na血症
高Na血症に対して5%ブドウ糖液を選択する理由として、もう一つは自由水の補給があります
過剰摂取など他にも原因となり得るものはありますが、高Na血症において最も多い原因となるのが脱水です
そのため、高Na血症は血液内のNaの量が増えているように思われがちですが、実際は水分量が減って相対的にNaの濃度が上がっていることが多いです
そのため、血管内のみでなく細胞内においてもNaの濃度が上昇するため、細胞内と細胞外の両方に分布される5%ブドウ糖液が選択されます
まとめ
- 5%ブドウ糖はNaを含まず、体内において『細胞内:間質:血管内=8:3:1』で分布する
- 脱水症例に伴う高Na血症には5%ブドウ糖液を選択
本記事ではブドウ糖の必要性について、実体験をもとに学んだことをまとめました
実際に検査歴を見返すとナトリウム(Na)165mEq/Lと高値であり、血管内脱水であろうとナトリウム濃度を上げるべきでないことから、メイン輸液の選択は正しかったと言えます
輸液を学び適した輸液の選択を行うことで、患者の電解質バランスや水分出納バランスを整えることができます