【循環器看護】心筋梗塞(MI)で変化する検査データ

循環/輸液
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導入

循環器疾患でも、特に緊急性が高い心筋梗塞ですが、心筋梗塞と判断するには指標が必要です。

心電図、エコーなどで心臓の動きを観察しますが、加えて重要になってくるのが検査データです。特に心筋梗塞では検査データが時間によって変化していきます。

本記事では心筋梗塞で変化する検査データに焦点を当て、主な臨床検査項目の種類と基準値等を紹介します。

参考文献等によって基準値等は誤差がありますのて、あくまで目安としてご理解ください。

検査項目一覧

①タンパク質

心筋トロポニンT/心筋トロポニンI

troponin T/I

  • 基準値:T 0.10ng/mi以下 I 0.50ng/mi以下
  • 心筋のフィラメントを構成する収縮タンパク
  • 急性心筋梗塞において心筋障害部位から血中に流出
  • 特異性の高い指標
  • 急性心筋梗塞発症後3〜6時間で上昇し始め、8〜18時間で最大を示す
  • 発症後2〜3週目程度まで上昇する

H-FABP(ヒト心臓由来脂肪酸結合タンパク)

heart type acud-binding protein

  • 基準値:3.2〜6.0μg/l
  • 脂肪酸の運搬を行うタンパク
  • 心臓は脂肪酸を活動エネルギー源とするため、心筋梗塞に陥ると血中濃度が上昇する
  • 心筋に特異性が高い
  • 心筋梗塞の範囲と、血中濃度はほぼ比例するため、心筋梗塞の大きさもある程度判定できる

心筋ミオシン軽鞘

myosin light chain

  • 基準値:2.5ng/ml以下
  • 心筋の筋原繊維を構成するタンパク
  • 心筋に障害が起こると血中に流出
  • 濃度上昇から心筋梗塞の存在を判断できる
  • 心筋梗塞発症後3〜4時間で上昇し始め、12〜24時間で最大を示す
  • 発症後1〜2週目程度まで上昇する

ミオグロビン

myoglobin

  • 基準値:男性 60ng/ml以下 女性 35ng/ml以下
  • 主に心筋や骨格筋に存在するヘム・タンパク
    (ヘムとは鉄を含む複合タンパクの総称)
  • 心筋梗塞で遊離し血中濃度が上昇
  • ミオグロビンは分子構造が小さいため他の心筋梗塞マーカーより早く血中に逸脱し、早期診断に適する

②酵素

CK(クレアチニン・キナーゼ)

creatine kinase

  • 基準値:男性 57〜197IU/I 女性 32〜180IU/I
  • 神経や筋肉に多く存在する酵素
  • CK-MB.CK-MM.CK-BBの3種類が存在
  • 心筋梗塞ではCK-MBが流出することで血中濃度が上昇する

GOT/GPT(AST/ALT)

  • 基準値:GOT 11〜33IU/I GPT 6〜43IU/I
  • 肝細胞からの逸脱酵素
  • GOTは肝細胞に加え、心筋にも存在する
  • 両者を比で表すと心筋梗塞の場合は0.87以上

LDH(乳酸脱水素酵素)

lactate dehydroganese

  • 基準値:120〜245IU/I
  • 多くの組織に分布している酵素で5つの分画(アイソザイム)がある
  • 心臓にはLDH1.2が多く存在
  • LDH/ASTは心筋梗塞の場合だと5〜20程度

③ホルモン(ペプチド)

ANP(心房ナトリウム利尿ペプチド)/BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)

  • 基準値:ANP 10〜43pg/ml BNP 18.4pg/ml以下
  • ANPは心房、BNPは心室で生成される利尿ホルモン
  • 心負荷が合った際に分泌される
  • 心不全の重症度判定に使用される
  • 血漿で測定

NT-pro BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント)

  • 基準値:125pg/ml以下
  • BNPを合成する前駆体
  • 血中濃度から心不全の状態を把握
  • BNPと比べ血中半減期が長い
    (BNPは20分程度、NT-pro BNPは120分程度)
  • 血清で測定可能

各検査データの選択

心筋梗塞における検査データの選択です

早期診断や晩期診断など検査項目を適切に使い分ける事で、心筋梗塞の発症時期や梗塞巣の大きさを推定できます

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まとめ

今回は自分のメモにあった物をまとめたものです

心筋梗塞の検査データは特異性の高い指標も多くあるので、どの項目をチェックするか分かっているととても有利だと思います

また、この他に、病棟管理ではWCOLを追跡するなど、心筋梗塞に関わる検査データは数多くあります。

WCOL

臨床では心筋梗塞疑いで搬送された場合には、心電図と心エコーを最優先で行います

心筋梗塞の可能性が非常に高ければ、検査データを待たずに心臓カテーテル検査及び治療に移行することも多々あります

心電図変化が乏しく、胸部症状も軽度、心エコーでも大きな壁運動異常が見られない場合には、検査データに重きを置きます

その場合には、検査データは特異性の高いCK-MBとトロポニンの上昇で判断する事が多いです

心筋梗塞は梗塞部位によって様々な臨床症状やVS(徐脈)、心電図変化が生じます

検査データと一緒に併せて覚えると、心電図を見た際に今後の流れがある程度予測できるので、大きな武器になると思います

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インスタグラム(Instagram)でもイラストをメインに医療情報を公開しているのでぜひ見にきてください!

救急看護師 on Instagram: "一部修正あり2022.7.6の再掲です 〜イラストで見る心電図〜 テーマ:心筋梗塞(aVr誘導) aVr誘導は決して目立つ誘導ではありません 刺激伝導系のベクトルとは逆方向から捉える形になるため、モニター誘導では活用しにくいです また、aVrの変化を指標にする心電図異常も多くありません だからこそ、見逃してはいけないaVr誘導の変化を理解して欲しいです 本日の内容 ・心筋梗塞とST・心電図変化 ・心筋梗塞とaVr誘導 ・臨床でaVrのST上昇を見かけたら Point ・aVrのST上昇はLMT(左冠動脈主幹部)梗塞を疑う ・VSや症状が必ず出るので併せて考える ・aVr単独のST上昇は積極的には心筋梗塞を疑わない #循環器 #心電図検定 #心電図 #救急外来 #ecg #勉強垢 #看護師 #看護師の勉強垢 #医療  #生理検査 #心臓 #勉強 #ナース #勉強垢さんと繋がりたい #心電図検定2級 #心筋梗塞 #心筋梗塞予防 #MI #AMI #LMT #左冠動脈主幹部 #5"
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