【症状別看護】眩暈(めまい)の主要疾患 BPPV

症状別看護

導入

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めまいの原因となる主な疾患をピックアップしてお伝えします

小脳梗塞・メニエール病に続き、今回の記事では良性発作性頭位眩暈症(以下BPPV) についてお伝えします

  • 良性発作性頭位眩暈症(BPPV)
  • Epley法(浮遊耳石置換法)

テーマはこの2つです

小脳梗塞はこちら

内耳の解剖生理はこちら↓

参考資料

病気がみえる 脳・神経

病気がみえる 耳鼻咽喉

医療情報科学研究所の病気がみえるシリーズです

メジャーな疾患からマイナーな疾患まで幅広く記載しています

良性発作性頭位眩暈症(BPPV)

BPPVとは特定の頭位で誘発される一過性の回転性めまいと眼振を特徴とする疾患である

病気がみえる 耳鼻咽喉

好発

  • 50歳代以降の女性
  • 閉経後
  • 骨粗鬆症の病歴(炭酸カルシウムからなるため)

BPPVの病態生理

耳石は炭酸カルシウムから組成され、耳石器に存在します

BPPVは耳石器から脱落した耳石が半規管内に迷入することでクプラに異常変異が起こり、めまい・眼振を引き起こすと考えられています

※病態の詳細は明らかになってません

クプラは膨大部に存在し、耳石の迷入は後半規管と外側半規管に多く、前半規管への迷入は基本的にはありません

BPPVの病型

BPPVは主に二つの病型に分けられます


半規管結石症
・脱落した耳石が半規管
 内を浮遊する
・頭位変換により耳石が
 移動し、リンパ流が乱れ
 クプラの異常偏位が
 起こる
クプラ結石症
・浮遊する耳石がクプラに
 付着し、その影響により
 頭位変換の際に、クプラの
 異常偏位が起こる


比較的短い
(〜1分程度)
比較的長い
(数分以上)

多い(80%)少ない

BPPVの症状と特徴

主な症状

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症状の特徴は難聴・耳鳴・神経症状を伴わない一過性の回転性めまいです

  • 回転性めまい(数十秒から数分)
  • 眼振

症状の特徴

  • 頭位を特定の位置に動かした際に発症する(洗髪や寝返りなど)
  • 数秒の潜時の後増強する
  • 難聴、耳鳴などの蝸牛症状や中枢神経症状は見られないことが多い

BPPVの検査と流れ

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問診でBPPVを疑ったら眼振検査を行います

赤外線CCDカメラや、Frenzel眼鏡を用いて頭位眼振検査や頭位眼振検査を行います

基本的に自発眼振や注視眼振は見られません

上記の症状と眼振検査により眼振が検出されると良性発作性頭位眩暈症(BPPV)を考えます

メニエール病、前庭神経炎、突発性難聴などの内耳疾患の経過中にBPPVが起こることもあるため、他疾患の除外により確定診断を行います

除外すべき悪性疾患(悪性頭位めまい症)

除外すべき疾患として悪性頭位めまい症があります

BPPVは基本的に自然軽快で増悪することはありませんが、悪性頭位めまい症は即時治療が必要です

小脳における前庭中枢障害によるめまい疾患であり、最も多いのは後頭蓋窩への転移性腫瘍によるものです

BPPVと同様に頭位変換によりめまいが誘発されるため、鑑別し除外することが必要です

悪性頭位めまい症の特徴

  • 頭位変換後直ちに眼振出現する
  • 消失しないめまい
  • 不規則な(一定ではない)眼振が出現
  • 眼振は陽性頭位にある間は減弱せず持続する

BPPVの治療

治療は主に対症療法理学療法手術療法に分けられます

対症療法

症状は自然軽快する場合が多いため、BPPVの基本的な治療は対症療法です

自然軽快しない場合は薬物投与を検討します

方法目的
炭酸水素ナトリウム(メイロン)
抗めまい薬
めまい抑制
制吐薬(メトクロプラミド)悪心・嘔吐抑制
抗不安薬(アタラックスP)
抗ヒスタミン薬
不安抑制

理学療法・手術療法

難治性の場合は理学療法による耳石排出(浮遊耳石置換法)や手術療法を検討します

理学療法

半規管型結石症であれば頭の向きを変えて排石させ、クプラ結石症によるBPPVであれば刺激により耳石を遊離させます

※クプラ結石症の治療法に関しては有用性は確立されていません

半規管結石症・Epley法(後半規管型)
・Semont法(後半規管型)
・Lempert法(外側半規管型)
クプラ結石症・振動刺激による耳石遊離
・Brandt-Daroff法

手術療法

BPPVで行う手術療法には半規管遮断術があります

理学療法で改善しない場合に行われます

半規管遮断術では耳石と半規管のと通路を骨片や肉片で塞ぎます

浮遊耳石置換法(Epley法)

めまいの理学療法の一例としてEpley法を紹介します

上記内容をめまいが消失するまで2〜3セットを目安に繰り返します

※注意点

  • 左後半規管型の場合は全て逆向きに行う
  • ステップごとの各頭位は眼振やめまいが消失するまで維持することが大切
  • 頭位変換が充分でないまま続けると耳石が逆戻りする(眼振所見も逆転する)
  • 耳石の位置によって方法が変わるため専門医に確認する

まとめ

  • 主症状は頭位変換で起こる回転性めまいと眼振
  • BPPVは蝸牛症状、中枢神経症状を伴わない
  • 内耳系の他疾患を除外した上でBPPVの診断は可能
  • 治療は対症療法と理学療法(Epley法など)

めまいの鑑別は多くの疾患を想定する必要があるため困難を極めます

急性期の場合は生命に関わる危険な疾患を除外し、慢性期に精密検査及び治療が必要です

BPPVは対症療法が主なため根治は難しいですが、原因(ストレス)と向き合い改善できれば発症率は低下すると思います

BPPVについてもっとよく知り、対応を理解することで不安の軽減に繋がります

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