【症状別看護】眩暈(めまい)の主要疾患 メニエール病

症状別看護
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導入

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めまいの原因となる主な疾患をピックアップしてお伝えします

前回の記事では小脳梗塞について紐解いていきましたが、今回の記事では内耳疾患についてお伝えします

  • 内耳の構造と機能
  • メニエール病

テーマはこの2つです

小脳梗塞はこちら

参考資料

病気がみえる 脳・神経

病気がみえる 耳鼻咽喉

医療情報科学研究所の病気がみえるシリーズです。メジャーな疾患からマイナーな疾患まで幅広く記載しています。

内耳の解剖生理

内耳は主に聴覚器である蝸牛と平衡器である前庭、半規管から成り立っています

それぞれの器官は更に、側頭骨内の管腔として存在する骨迷路とその中の膜性の膜迷路に分けられます

骨迷路と膜迷路はほとんど同じ形をしており、骨半規管の中に半規管、前庭の中に卵形嚢と球形嚢、蝸牛の中に蝸牛管がそれぞれ収まっています

骨迷路と膜迷路の間は外リンパ液で、膜迷路の中は内リンパ液で満たされており、外リンパ液のみ骨髄と交通しています

蝸牛はカタツムリの殻のような形をしており、2回転半のらせん構造になってます

蝸牛の先端部を蝸牛頂といい、蝸牛は前庭窓と蝸牛窓で鼓室と繋がっています

前庭窓にはアブミ骨がはまり込んでいる構造になっています

蝸牛の断面図は画像のようになっており、膜迷路である蝸牛管を上下の骨迷路が挟んでいるような構造になっています

また、蝸牛管の付近(基底板の上)には聴覚受容器であるコルチ器が存在しています

蝸牛神経は蝸牛の聴覚受容器である蝸牛管に分布しています

蝸牛

蝸牛は耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)から伝わった音の振動をリンパ液を介して電気信号に変換し、蝸牛神経から脳に伝えます

音の振動は前庭窓から流入し前庭階の外リンパ液に振動を起こします

外リンパ液の振動は基底板に伝わり進行波となります

この時、周波数が高いと前庭窓側、低いと蝸牛頂側で最大振幅を示し、その位置でコルチ器が刺激されます

進行波によって基底板が歪むとコルチ器の一つである、有毛細胞の先端(感覚毛)が屈曲します

この屈曲によって有毛細胞が脱分極を起こし、活動電位が蝸牛神経に伝わることで脳が音を理解します

前庭

前庭は主に直線加速度や重力を、半規管は頭部の回転運動を感知します

感知した動きを平衡感覚受容器である前庭神経が脳へ伝達します

前庭神経は半規管の根本付近の膨大部稜と前庭の球形嚢と卵形嚢にある平衡班に存在します

また、耳石も前庭の平衡班付近に存在し、耳石の傾きを前庭神経が感知して脳に伝えます

内耳と眩暈(めまい)

めまいが起こるのは原則として『半規管』『前庭』の障害です

蝸牛は聴覚器のため、蝸牛の障害では主に難聴や耳鳴などが起こります

しかし、蝸牛の障害でも炎症の波及等で半規管や前庭を刺激した場合にはめまいを引き起こすこともあるので注意が必要です

メニエール病

メニエール病とは聴覚症状を伴う反復性のめまい発作を主症状とする抹消性内耳疾患である

病気がみえる 耳鼻咽喉

好発

  • 30〜50歳代女性
  • 几帳面、神経質な性格
  • 早朝から20時くらいまでの時間帯

メニエール病の病態生理

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特徴症状は『何時かい?』

難聴(なん)・耳鳴(じ)・回転性めまい(かい)です

メニエール病は内リンパ水腫による有毛細胞の圧迫が原因と考えられています

過労や睡眠不足、ストレスを契機に内リンパ水腫が生じ、その結果蝸牛の有毛細胞などが圧迫され耳鳴や難聴が生じます

同時に内リンパ圧上昇により半規管や前庭に異常刺激が生じめまいが出現すると考えられています

メニエール病の症状と特徴

主な症状

  • 聴覚症状(耳鳴・難聴・耳閉)
  • 回転性めまい
  • 悪心・嘔吐

主な特徴

  • 症状は聴覚障害から始まり10分から数時間持続する
  • 聴覚障害はめまいの改善とともに軽快する
  • 発生頻度は個人差があり多様
  • 聴覚障害は初期には一側性、可逆性が多いがめまい発作を繰り返すうちに両側性、不可逆性になる場合がある
  • 第Ⅷ脳神経以外の神経症状(意識障害など)は見られない
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意識障害や特徴に当てはまらない場合は

積極的に違う病気を疑ってみてください

メニエール病の検査と流れ

めまいは大まかに問診の時点で原因疾患を絞ります

その際にメニエール病の可能性が高い場合は、上記のような検査でリンパ水腫の有無を確認し確定診断を下します

MRIでの診断は造影剤を使い、リンパ内腔の閉塞具合を評価することでメニエール病を診断できます

  • めまいの精密検査は夜間は基本的にできません
  • 繰り返すめまいの場合は日中に受診して検査を受けるのがベストです
  • 夜間はMRIにて頭蓋内疾患の有無を評価します

診断基準

2017年に日本めまい平衡医学会が『メニエール病診断基準』として改訂したものです

症状

  • めまい発作を反復する.めまいは誘因なく発症し、持続時間は10分程度から数時間程度
  • めまい発作に伴って難聴・耳鳴・耳閉感などの聴覚症状が変動する
  • 第Ⅷ脳神経以外の神経症状がない

検査所見

  • 純音聴力検査において感音性難聴を認め、初期にはめまい発作に関連して聴力レベルの変動を認める
  • 平衡機能検査においてめまい発作に関連して、水平または水平回旋混合眼振や体平衡障害などの内耳前庭障害の所見を認める
  • 神経学的検査においてめまいに関連する第Ⅷ脳神経以外の障害を認めない
  • メニエール病と類似した難聴を伴うめまいを呈する内耳、後迷路性疾患、小脳・脳幹を中心した中枢性疾患など、原因認知の疾患を除外できる
  • 聴覚症状のある耳に造影MRIで内リンパ水腫を認める

診断

  • 確定診断:症状所見3項目と検査所見5項目を満たす
  • 確実例:症状3項目と検査所見1〜4項目を満たす
  • 疑い例:症状の3項目を満たす

メニエール病の治療

治療の原則は安静保存療法です

特に急性期は対症療法しかできないため、発作が出てる時は薬で凌いで落ち着いた間欠期に根治を検討します

急性期の薬物療法の一例

方法目的
炭酸水素ナトリウム(メイロン)
抗めまい薬
内耳循環改善薬
めまい抑制
制吐薬(メトクロプラミド)悪心・嘔吐抑制
抗不安薬(アタラックスP)
抗ヒスタミン薬
不安抑制
(ステロイド)難聴改善・抑制

間欠期の治療↓

まとめ

メニエール病は内リンパ水腫を起因とするめまいと聴覚障害です

めまいの主要疾患としてメニエール病は有名ですが、めまいの原因疾患として鑑別すべき疾患は多々あります

小脳梗塞の否定を行いたい場合は夜間脳神経外科でも問題ないですが、繰り返すめまいの原因を知りたい場合は日中症状が落ち着いた際に耳鼻科の受診をオススメします

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