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硝子体手術の器械だしに関する手順やポイントを紹介していきます。
様々な病院で行われる手術ですが、大まかな方法は決まっているものの詳細な手順や使用する資機材は病院や手術する医師によって様々です。そのため、あまり参考書以外では詳細部分まで知ることが難しい現状があります。
今回は手術室看護師として実際に行った硝子体手術の術式や大まかな方法、手術の際に使われる器械や流れを解説していきます。
手術室看護師や手術看護に携わる職種、手術を受けられる人などが少しでも手術に対してイメージがつき、少しでも安心して手術を実施できることを目的としています。
- 手術は施設によって方法や手術時間が大きく異なりますので、あくまで参考として紹介しています
- 特に閉創や創部保護などは大きく異なることが多いです
- 手術の方法などは医療の進歩に伴い変わっていくことが多いです。可能な範囲で訂正はしていきますが、変更できていない場合はご了承ください
- 通常と異なる場合を除いて、消毒やドレーピング、準備過程における手技は割愛しています
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硝子体手術
- 硝子体(ガラス体)と呼ばれる眼の中心の球体に行う手術の総称
- 疾患は多数あるため、それによって細かい術式は異なるため注意が必要
- 大まかな手術は硝子体や病変部位にアプローチ(綺麗にする,レーザー照射など)する

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眼科の手術は解剖を覚えて器械だしにつくと流れがイメージできます。硝子体手術は特に疾患と術式を結びつけることが大切です。
原因疾患と術式の違いはこちら▼
硝子体手術の概要
| 疾患 | 硝子体混濁,網膜剥離,黄斑円孔,ぶどう膜炎,網膜前膜 |
| 体位 | 仰臥位 |
| 手術時間 | 30〜60分程度 |
| 出血量 | 少量 |
| 麻酔方法 | 局所麻酔.全身麻酔(状態に応じて) |
硝子体手術は白内障手術より比較的手術時間が長くなることが多いです。安静が保てない場合には全身麻酔で実施することも多くあります。
眼科の手術は基本的に眼科用のバイポーラや灌流、レーザーなどがセットになった器械を使います。アルコン社が販売しているコンステレーションビジョンシステムを採用しています。

硝子体手術の手順

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バイポーラや吸引などの基本的な器械はコンステレーションビジョンシステムに組み込まれているため、追加で使用する資機材のみ記載していきます。
硝子体手術は原因疾患によって術式が多少異なります。特に硝子体の置換がメインであるのか、剥離など網膜などの治療も含むかによって器材も変わるため原因疾患の確認をオススメします。
また、眼科の手術は安静が大切です。事前に疼痛や尿意など有事は手を挙げるなど、眼の周囲の安静を保ったままSOSを出せる方法を共有しておくと術中の安全に繋がります。
手術前準備
ここで使用するもの
- ベノキシール
- PAヨード
- 局所麻酔薬品
- BSS
- コンステレーションビジョンシステムにBSSをつないで灌流できるようにする
- BSSは眼科用の灌流液で、術中の乾燥防止や創部を灌流し視野を確保する
- 主な灌流使用の目安は白内障手術:60~240mL.硝子体手術:90~400mL.緑内障手術:30~260mL
- ベノキシールにて点眼麻酔
- PAヨードにて消毒(添付文書以下参照)

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PAヨードは主に眼科で用いられる消毒薬で粘性があります。通常は冷所保存で使用前に常温に戻し、希釈して使用します。

- 局所麻酔(点眼麻酔,テノン嚢下,球後麻酔)
- 眼科は眼に直接振りかける点眼麻酔に加え、創部に局所麻酔することが多い
- 硝子体手術の場合はテノン嚢下と球後麻酔が多く用いられる
※眼科の麻酔についてもっと知りたい場合はこちら
ポート造設
ここで使用するもの
- キャリパー(必要時)
- ポート(25G使用)
- キャリパーで計測(しないことも多い)
- 3 か所に 25G ポート(トロカール)を造設
- ポートからコンステレーションなどに接続されているデバイスを挿入
一般的に留置するデバイス
- 灌流液(BSSを流す)ポート
- 硝子体カッターを挿入するポート
- 眼内照明を挿入するポート

眼科用のポートは小さいため不潔にしないよう注意が必要です。
- シャンデリアなど特殊なデバイスを使用するときは光源が別に必要となり、ポート数も4ポートに増えることが多いため新たに準備が必要
硝子体切除・剥離
ここで使用するもの
- 硝子体カッター
- メングレンスクレイバー(ループ状の先端が欲しい場合)
- レボリューション鉗子(増殖網膜剥離の場合)
- ケナコルト
- 前置きレンズをシェルガンで接着し開瞼器のVSLにかける
- 消灯した後、ケナコルト(必要時)を使用し硝子体を可視化する
- 硝子体カッターで硝子体切除
- 増殖糖尿病網膜症.増殖硝子体網膜症では増殖膜剥離実施
- 光の欠落部位を探す(内境界膜剥離)場合は硝子体前置きレンズを準備
- 内強膜を剥がす場合はILM ブルーと25G 鉗子(ILM peeling)を準備
硝子体置換・レーザー照射
ここで使用するもの
- 硝子体カッター
- 眼科用レーザー
- 硝子体カッターバックフラッシュニードル眼内の水を完全置換する
- 出血点や裂孔などにはレーザーで照射し眼内凝固する
ポート抜去・ガス注入
ここで使用するもの
- 局所麻酔薬
- 縫合針(8−0バイクリルなど)
- SF6ガス
- ポート部分を局所麻酔
- ポート抜去し8−0バイクリルなどの縫合針で縫合
- 網膜剥離など剥離面を壁に圧着したいときは、SF6ガス(1.5ml程度)を注入し液空気置換を行う
- ガスは1〜2週間で吸収されるが、吸収されるまではやや視野不良となる
ステロイド処置
ここで使用するもの
- デキタメタゾンリン酸(デキサート)
- 眼軟膏:タリビットなど
- 抗炎症作用のある副腎皮質ステロイド(デキタメタゾンリン酸など)を結膜注射する
- 感染予防のため抗菌剤である眼軟膏(タビリットなど)を塗布
まとめ

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眼科の手術は専門性が高く、解剖や疾患なども理解するとさらに手術看護の質向上に繋がります。
眼科の手術はデバイスが全て小さいです。デバイスの不潔はもちろんのこと、縫合糸の紛失リスクが非常に高いため、針をテープで止めておくなど施設ごとの対応なども確認しておくことをオススメします。
また、眼科の手術は術直後から視野良好になるとは限りません。特に硝子体手術ではガスにて液空気置換をすることが多いため、吸収されるまでは視覚障害がみられます。術前、術後訪問でそういった内容の説明を受けて理解が得られているかを確認すると不安軽減に繋がります。
眼科の解剖と麻酔、硝子体手術の適応となる疾患、白内障手術については別の記事でまとめてあるので、参考にしてみて下さい。

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手術は手順だけでなく解剖や病態との関連性が分かると更に楽しくなります。専門分野であるからこそ専門性の高い看護師になれるチャンスです!



