はじめに
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V-P(腹腔-脳室)シャント造設の手術手順をポイントを踏まえて紹介していきます
今回は手術の術式や大まかな方法のみでなく、手術の際に使われる器械や流れを解説していきます
手術室看護師や手術看護に携わる職種、手術を受けられる人などが少しでも手術に対してイメージがつき、少しでも安心して手術を実施できることを目的としています
- 施設によって手術方法・手術時間・使用する器械が大きく異なりますので、目安として参考にしてください
- 手術の方法などは医療の進歩に伴い、変わっていくことが多いので適宜更新していく予定です
- 可能な範囲で訂正はしていきますが、変更できていない場合はご確認の連絡をいただけると幸いです
- 通常と異なる場合を除いて、消毒やドレーピング、準備過程における手技は割愛しています
この一冊で手術看護の基礎が分かる↓
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麻酔・手術看護の全体像・手術に必要な解剖学全て分かるオススメの一冊です!
V-Pシャント造設術
- 脳室内に髄液(水分)が貯留することで、頭蓋内を圧迫・浮腫を来たす水頭症に対して行われる治療
- 脳室から皮下を通して腹腔までチューブを通すことで排液する流れを作る
- 頭部にはシャントバルブを留置し、髄液の流出を管理する
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VPシャント増設術は腹部と頭部(頸部)に術創ができるため、両方の準備が必要です
VPシャント造設術の概要
疾患 | 水頭症 |
体位 | 仰臥位 |
手術時間 | 30〜60分 |
出血量 | 少量 |
麻酔方法 | 全身麻酔.局所麻酔 |
VPシャント造設術術の手順
局所麻酔〜頭部開創
ここで使用するもの
- 局所麻酔(1%E入りキシロカイン)
- メス(円刃)
- 有鉤鑷子
- バイポーラ
- ラスパ
- 開創器
- 1%キシロカインE入りで局所麻酔
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E入りはエピネフリンが混ざっているため、血管収縮による止血効果が期待できます。脳外科を初め出血リスクの高い手術の麻酔で使われることが多いです
- 円刃にて切開
- 有鉤鑷子にて把持してバイポーラで必要時止血
- ラスパで骨膜を剥離
- 開創器で開創し術野を広げる
開創後〜穿頭
ここで使用するもの
- パーフォレーターツイストドリル
- バイポーラ
- 鋭匙(えいひ)
- ボーンワックス(骨ろう)
- ツイストドリルにて穿頭し、鋭匙にて骨片除去
- 濡れたガーゼで穿頭部分の乾燥を予防し、腹部の処置へ移行
- 出血が見られる箇所はバイポーラで止血
- 頭蓋骨からの出血にはボーンワックスにて止血
- 生理食塩水の代わりにゲンタシン含有生理食塩水を使用して保護することもある
局所麻酔〜腹部開創
ここで使用するもの
- 局所麻酔(1%E入りキシロカイン)
- メス(円刃).メス(尖刃)
- 電気メス
- 有鉤鑷子.ミクリッツ
- 開創器(ヤンゼン開創機・トリムライン)
- 1%キシロカインE入りで局所麻酔
- 円刃にて切開
- 有鉤鑷子にて把持して電気メスで筋膜切開
- 腹膜を尖刃で切開し、ミクリッツで把持した後、ヤンゼン開創器で広げてトリムラインで開創
- 腹部は腹腔内が見えるところまで開創
- 開創器の種類は施設によって異なるので注意
硬膜切開・脳室穿刺
ここで使用するもの
- 有鈎攝子(アドソン)
- 11号メス
- バイポーラ
- 脳室穿刺針(縦穴太).メジャー
- 有鈎攝子(アドソン)で硬膜を持ち上げ、尖刃で切開
- 出血個所はバイポーラで止血する
- 脳室に留置するため脳室穿刺針で穿刺
- リコール(髄液)がでたら針を抜き脳室までの深さをはかる
脳室穿刺針は縦穴・横穴があるので確認が必要
V-Pシャント造設
ここで使用するもの
- パッサー(長・短)
- 腹腔カテーテル
- メジャー.クーパー
- バルブ
- 生理食塩水
- 腹腔から皮下へパッサー(長)を挿入し、皮下を通って頸部まで誘導する
- パッサー内を通して、腹腔-頸部間にシャントチューブを誘導する
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この時点で腹腔から頸部までのシャントは完成です
- パッサーを抜去しシャントチューブを留置した後、頚部(中継地点)を10号メスで切開しモスキートペアンで拡大
- 頚部からパッサー短を頭部に向けて皮下を通す
- 脳室カテーテルの長さをメジャーで測って決めチューブカットする
- バルブを接続して先端から髄液の自然滴下を確認し中を生食で満たす。
- 側脳室にカテーテルを挿入し、バルブを穿孔部に固定する
シャントとバルブの固定を確実に行う
閉創
- 出血箇所はバイポーラで止血.骨穴はスポンゼルで埋める
- バイクリルにてにて皮下を閉創後、スキンステイプラーにて皮膚閉創
- 頭部の縫合にはスキンステイプラーを用いることが多い