PEARSとは
PEARSとはPediatric Emergency Assessment, Recognition, and Stabilizationの略で小児救急 評価・認識・病状安定化を意味します
Nurse
評価・認識・病状安定化と言われると分かりにくいですが、簡単に言うと急変の早期発見・予防を身につけるトレーニングです
以下の文はPEARSの冒頭で流れるビデオの内容を抜粋したものです
人生には時が止まって欲しいと願う瞬間があります
私たちはそのような瞬間を生きそのために生きています
私たちは人生の大切な瞬間をもっと生きてもらいたいと願っています
それには心臓と脳が健康でなければいけません
私たちは心臓や脳のより良い健康を使命にしています
大人はより健康に子供はより元気に命を取り留めた人はより強く
Life is why
AHA
PEARSのスローガンはLife is whyであり、日本語訳すると人生の理由になります
人はなぜ生きるのか、それは時が止まって欲しいと願う瞬間を家族や、友人様々な形で分かち合い大切な瞬間を生きたいと願うからです
人によって大切な瞬間は違いますが、その瞬間を感じるためには生きて命を繋ぐ必要があります
PEARSでは小児の命を繋ぐために、患者の第一印象やVS(バイタルサイン)から患者の状態を把握し心停止を予防することを目的としています
そのため、PEARSではBLS(一次救命処置)の講義や実技は確認程度で行いますが、PALS(小児二次救命処置)は行いません
PEARSはあくまで心停止にならないための予防的対応となります
PEARSの魅力
Nurse
PEARSを実際に受講してみた実体験も踏まえてお伝えしていきます
PEARSは考え方を学ぶ研修
PEARSの研修は8時間程度で、試験も含めて1日で終わる研修になります
その限られた時間の中でPEARSは能力を身につけるのではなく、急変予測の方法を学ぶことを到達点として研修を行います
ICLSなど救急の資格であれば心臓マッサージや薬剤投与などのスキルを学び体を動かすことが多いですが、PEARSではフローチャートを使い外見や全身の状態から変化し得る病態を予測すること学びます
そのため、実技の際にもフローチャートが書かれている資料を見ながら行いますし、もちろん試験の際も資料を見ながら受けることができます
PEARSは医療従事者以外も対象にしている研修
PEARSは日常的に乳児や小児の蘇生行為を行っていない医師や看護師を含むプロバイダーのニーズをより満たすために開発されたコースです
そのため、小児救急に携わっていない看護師だけでなく、養護教諭や保育士なども参加可能な研修になります
PEARSのHPでも対象を以下のように記載してます
- 乳児・小児のBLSを学びたい方
- 急変前の観察・評価・介入方法等を学びたい方
- 学んだことを院内・施設内に還元したい方
- インストラクターとして普及活動に関わりたい方 など
PEARSは資料を見ながら急変を予測し医師への報告など早期対応を到達点としているため、医師や看護師でなくても十分に参加する意義があると思います
Nurse
PEARSは医療従事者以外の人も対象にしているため、他の研修と比べ様々な人ができる観察方法を駆使して状態を把握します。資料を見ながら学べることと、あらゆる人が参加できる点がPEARSの魅力だと思います。
PEARSを受けるには
PEARSの受講は下記のURLから受講できます↓
PEARSの概要
PEARSはAHA主催のコースで、2年毎の更新があります
BLSは導入でも行いますがPALS(小児二次救命処置)のように来院後の医療的対応は行わず、あくまでもPEARSの目的は急変前に対応することになります
PEARSの申し込み方法
申し込みと同時に参考書の購入が必要になります
参考書はPEARSの公式ガイドブックがあり、申し込みと同時に無料配送もできます
PEARSの研修や試験の際の持ち込み資料として必須になりますが、JNTECのようにシリアルナンバーが必要なわけではないので中古での購入でも特に問題はないです
1日の流れ
1日(約8時間)で終わる研修なので、スケジュールは少しタイトになりますが、考えながら行う研修なので思ったほどハードには感じませんでした
Nurse
PEARSの内容についてはInstagramでも紹介しています
Instagram↓
PEARSの内容
Nurse
最後にPEARSとは実際にどのような内容で、どのように活用していくのか大まかな流れ紹介していきます
PEARSの内容は主に3つに分かれます
- 初期評価
- 一次評価
- 二次評価
初期評価は第一印象です
最初の数秒間で得られる所見を外見・呼吸仕事量・循環(皮膚色)に分類し評価します
ここでは、細部までの評価を目的とするのではなく、致死的状況あるいは早期介入が必要な状況であるかを短時間で評価します
この時点で、致死的状況であれば早期に応援を呼び必要時には救命処置(CPR/心肺蘇生)を行います
早期介入が必要な場合には一次評価に移ります
一次評価はABCDEアプローチに沿って迅速に評価します
ここでは問診・触診・視診に加え血圧やパルスオキシメーターを用いた酸素飽和度(SpO2)なども含めて評価します
ABCDEアプローチとは
- Airway:気道
- Breathing:呼吸
- Circulation:循環
- Disability:神経学的評価
- Exposure:全身観察
Dにおける小児の意識障害の評価にはAVPU小児反応スケールを用いる
ABCDEアプローチで評価した上で異常があれば二次評価にて障害のタイプと重症度を評価します
小児の場合は呼吸と循環の障害が多いためPEARSの研修では呼吸障害と循環障害を中心に行います
初期評価から二次評価までを経て障害のタイプと重症度を判断し医師へ報告、介入を行なうことで心停止の予防・病状悪化の防止に繋がります
まとめ
小児がひとたび心停止におちいると、理想的な蘇生努力を施しても予後良好の転帰を得られることは少ないです
院内で心停止が生じた場合の生存退院率はわずか8%、院内で心停止が生じた場合の生存退院率は約43%と、成人と比較しても決して良好とは言えません
だからこそ、PEARSで生んだ知識やスキルが小児の未来をつなぐ力になると思います
PEARSは誰でも参加できる研修であり、そこで学んだ観察方法や評価は小児だけでなく成人の対応にも活かすことができます
小児救急や小児看護に興味のある方や我が子を含め子どもの未来を守りたい方はぜひPEARSの受講をオススメします
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