導入
看護師に入って3年目くらいから輸液の仕組みに興味を持ち始め、メイン輸液の使い分けも過去記事で紹介しました。
救急外来では乳酸リンゲル液/酢酸リンゲル液をよく使い、滴下量を医師に確認すると100ml/hくらいやキープできる程度と曖昧な指示もよくあります。
業務に追われる日々の中、病棟でも出された点滴を医師の指示通りにとりあえず投与していることも多いと思います。
私も入職当初はそうでしたが、医師も業務の傍ら連日と同様に輸液指示を出していることも多くあります。救急外来の緊急時、病棟での緊急入院、入院患者の維持輸液など医者が必ず適切な輸液をしているとは限りません。
看護師が食事量や水分量を配慮して適切な輸液量を把握し医師に報告できれば、volume overによる心不全や、輸液量不十分による脱水などを予防できるかもしれません。
今回の記事で紹介する4:2:1の法則は簡単に覚えることのできる維持輸液の法則です。
参考資料
月刊オペナーシング 2020.12月号
メディカ出版さんが出している雑誌で、オペ室看護師に特化してる数少ない雑誌です。
今回はこちらの輸液管理からピックアップさせて頂きました。
手術看護が救急外来に通じるものも多くあるため、救急外来の看護師としてとても勉強になります。
内容
- 輸液編:輸液ってナニモノ/術中の輸液管理の謎
- 輸血編:輸血ってナニモノ/術中の輸血の謎
- 手術室の皮膚損傷最新Q&A
- アイラブオペナース~忘れられない手術室看護師~
- 術前休止薬を探せ
- 誰でも書ける術中看護記録のトリセツ
4:2:1の法則
4:2:1の法則とは維持輸液量を決める際に用いる換算表です。
使う項目は体重(kg)のみです。体重と維持輸液の必要性や意味を理解していれば簡単に割り出すことができます。
維持輸液とは
維持輸液とは人が1日に失われる電解質や水分を補う輸液のことです。人は排泄や不感蒸泄などの代謝によって自然と水分及び電解質が失われていきます。
その自然と失われる水分を補充するのが維持輸液です。
維持液の種類として医療現場で使われるものとして、代表的なものに3号液があります。
3号液の組成
例:ソリタT3の電解質濃度(mEq/L)
- Na+ 35
- K+ 20
- Cl- 35
- L-Lactate- 20
※ソリタT3 添付文書より引用
1/3生理食塩水とも呼ばれ、電解質濃度は1/3程度、Kやブドウ糖も含まれています。
細胞外液のように急速な血管内脱水の補充は出来ませんが糖も含め細胞内外の水分及び電解質の補充ができます。
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4:2:1の法則の使い方
体重(kg)を0〜10と10〜20、20〜の3種類に分けて輸液量を計算します。
- 0〜10→4ml/kg/時
- 10〜20→2ml/kg/時
- 21〜 →1ml/kg/時
それらの輸液量の合計が維持輸液量です。
絶食/食欲不振があった場合
手術前の絶食期間や食欲不振がある場合には水分や電解質を喪失している期間があります。その時には、その時間を加味して維持輸液量を計算します。
例えば60kg、手術前8時間絶食していたとします
- 維持輸液量:100ml/h
- 絶食時間の総質量:維持輸液量(100ml/h)×絶食時間(8時間)
- 合計800ml
800mlを維持輸液量に加えて輸液量を計算することで喪失分の水分や電解質を補充できます。
※手術時(出血量が多い時)やNa.Kその他電解質、エコーでのIVC虚脱(脱水初見)や心エコーでの充満(心不全)などが見られた際は則さない場合もあるので注意が必要です。
まとめ
4:2:1の法則は古くからあるようですが、現在も手術時の輸液管理などで用いられている法則です。
絶食時間を加味した輸液管理は術中での明らかな必要性はないとも言われていますが一般的維持輸液の目安としては、簡易的で活用しやすいと思います。
看護同士で点滴を何気なくWチェックしている時間や、投与前の確認、ミキシングの時間などに投与量を適切にアセスメントできれば過剰輸液や水分の不足を予防できます。
日々の輸液管理でより良い看護につながるよう、4:2:1の法則を活用してみてください。
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