はじめに
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本記事では、心臓カテーテル治療の要であるPCIについて紐解いていきます。PCIではデバイスの種類も多数あるため、役割なども解説していきます。。
心臓カテーテルとはカテーテルと言われる細長い筒を動脈から心臓に誘導して検査や治療を行う方法です。心臓カテーテルの必要がありそうな病態に、冠動脈造影(CAG)と呼ばれる検査を実施します。その上で、治療が必要になった場合には経皮的冠動脈インターベーション(PCI)へ移行し治療が始まります。
医師が実施する手技ではありますが、病院や夜間対応によっては看護師がカテーテルを準備したりすることもあるため、夜間緊急の心臓カテーテルを行っている病院では特に必須の知識になります。
本記事では、CAGが終了後に治療へと移行した際の流れと主に用いられるデバイスを紹介していきます。
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参考資料
やさしくわかる心臓カテーテル
| タイトル | 優しくわかる心臓カテーテル:検査・治療・看護 |
| 出版 | 照林社 |
| 金額 | 2,390円 |
| 発売年 | 2014年 |
| ページ数 | 181ページ |
| 特徴 | 心臓カテーテル入門に特にオススメ |
心臓カテーテルの入門です。基礎的な内容をイラスト豊富に分かりやすく記載されており、最初の１冊としては特におすすめです。
デバイスの概要などは書かれていますが、アブレーションの内容や手技の詳細は描かれていないので、よりハイレベルに心臓カテーテルを学びたい方は併せて、より専門的な参考書をオススメします。
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心カテに初めて入る時はまず購入！いきなり分厚い本を購入すると、より複雑な説明になり、迷入します。
PCIの基本デバイス
心臓カテーテルはシース、ガイドワイヤー(GW)、カテーテルから成り立ちます。経皮的冠動脈インターベーション(PCI)はそれに加え、ガイディングカテーテル、マイクロカテーテル、バルーンカテーテル、冠動脈ステントを主に使用します。
カテーテルの種類や誘導する場所によって対応できる治療は多種多様です。冠動脈造影(CAG)から経皮的冠動脈インターベーション(PCI)に移行すると、デバイスの種類も複雑になりますが、PCIは心筋梗塞における治療の要です。
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PCIは心臓カテーテルの主役的存在です。PCIまでマスターすれば、夜間や緊急の心臓カテーテルの大半は乗り切れるようになります。
| 手順 | 特徴 |
|---|---|
| ガイディング カテーテル | ・名前の通りガイド用のカテーテル ・柔らかくて細いマイクロカテーテルなどのバックアップを強くする効果がある |
| マイクロ カテーテル | ・通常の冠動脈造影(CAG)で使用するカテーテルより細く柔らかいカテーテル ・冠動脈入り口までしか流入できない通常のカテーテルより、末梢まで到達し造影することが可能 |
| バルーン カテーテル | ・GWに沿って目的部位まで誘導する ・目的部位でバルーンを拡張させることで、狭窄部位の拡張などの効果を得ることができる |
| 冠動脈 ステント | ・GWに沿って目的部位まで誘導する ・目的部位でバルーンの拡張を行うことで血管壁に圧着させ、再狭窄を予防する |
経皮的冠動脈インターベーション(PCI)の流れ
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PCIは基本的に冠動脈造影(CAG)を行った後に実施します。CAGで狭窄または閉塞部位を確認した後にPCIへ移行します。
PCIとは経皮的冠動脈インターベーション/Percutaneous Coronary Interventionの略で、心臓カテーテルの基本となる治療です。経皮的とは体外からカテーテルを用いて治療などを行うことを表します。インターベーションは直訳すると介入という意味合いであり、冠動脈への介入、即ち冠動脈への治療を表します。
PCIの治療方法は大きく分けて経皮的バルーン血管形成術と冠動脈ステントの2通りです。経皮的バルーン血管形成術は略語でPOBA(Plain Old Balloon Angioplasty)と呼びます。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 経皮的バルーン血管形成術 | ・バルーンカテーテルを用いてカテーテル治療を行なっていく ・ステント留置前後の拡張などでも用いられる |
| 冠動脈ステント | ・近年のPCIの大部分を占める治療法 ・狭窄部位にステントを留置して拡張することで治療を行う |
PCIの流れは以下の通りです。
PCIではCAGに加えてデバイスなども増えます。また、血管内超音波(IVUS)などの手技も増えるためより複雑になります。ここでは一番基本的なPCIを記載しますが、臨床ではアンカーテクニックやKBTを行うためにバルーンカテーテルを2本に増加させたりなど応用的な部分も多くあります。
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PCIは基本を覚えて、応用を実践で学ぶことが多いです。応用的な部分も多いからこそ、基本を覚えることで流れを掴むことができます。
PCIの看護
PCIの看護もCAGと大まかには同じです。大きなポイントはPCIの方が血管損傷のリスクが大きいという点になります。PCIは冠動脈の入り口からさらに狭窄部位までカテーテルを進めていくため、血管径が細くなります。
更に治療が適応となる場合には基本的にコレステロールの沈着や石灰化など血管も脆弱化していることが多く、相対的に血管損傷のリスクは上昇します。特に完全閉塞(CTO)病変などは硬いデバイスを用いることが多いため、注意が必要です。
PCIもCAGと看護のポイントは同じですが、薬剤投与のタイミングや注意するポイントなどが異なるため、重要部分を押さえていきます。
🍀PCIの主な看護
- 薬剤の準備と薬剤投与によるVSの変化を確認
- 造影剤による副作用の確認
- デバイス操作によるVSの変化を確認
薬剤の準備と薬剤投与によるVSの変化を確認
PCIでは穿刺部位を追加することはほとんどないためCAGの様な局所麻酔の副作用などはあまり懸念する必要はないです。血管拡張として硝酸イソソルビド(ニトロール)などの使用に加え、末梢の冠動脈に対してシグマート(ニコランジル)など、別の薬剤も使用するため血圧の低下やアレルギーには注意が必要です。
薬剤はカテーテルから直接投与するため清潔操作で術野に薬剤を渡す必要があります。看護師は薬剤を術野にいる医師に清潔なまま渡すことができるようサポートする必要があります。
また、医師は手技に集中していることが多いです。PCIになると薬剤の種類が増えるため希釈割合や量などは丁寧に確認すると安全な薬剤管理に繋がります。
造影剤による副作用の確認
心臓カテーテルは放射線で冠動脈など実際には見えていない心臓を描出させるために、造影剤の使用は必須となります。造影剤は放射線治療では必須の薬剤ですが、アレルギー反応を比較的起こしやすいため副作用に注意が必要です。CAGと同じ薬剤の使用であれば特に問題はないですが、治療の際は造影剤を変える病院もあるため、その際には再度アレルギー症状の確認は必要です。
特に腎機能低下症例では造影剤の排泄が遅延するため副作用が出現しやすく、造影剤を慎重投与とすることが多いです。しかし、心臓カテーテルは必要に応じて緊急で実施することもあるため、副作用の観察と早期対応が重要になります。
ヨード造影剤という枠組みでは同じであっても、アナフィラキシーショックなどは早期対応が必要になります。PCIでは造影剤の使用量も多いため、その点では特に注意が必要と言えます。
デバイス操作によるVSの変化を確認
CAG同様、カテーテル治療は手術と比べて侵襲が少なく特に心筋梗塞などの冠動脈疾患には優位な点が多くあります。PCIは特に末梢血管にアプローチするため、血管損傷などのリスクは付きものです。
特に蛇行した血管や狭窄した血管、CTO(完全閉塞)病変などにGWやカテーテルを通す時に血管損傷を起こしやすいため注意が必要です。
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急な血圧低下や医師が焦っている時は血管損傷の場合が多いです。輸液の調整やカテーテルの準備など、予測して早期対応に努めましょう。
また、デバイス操作や血管開通に伴いプラークが移動して更に末梢を塞栓することもあります。基本的には造影を最後に行い、塞栓が見られている部位があれば血栓吸引で除去します。同一臥位や血液量増加(血圧上昇)などに伴い脳梗塞などを合併することもあり得るため、術中だけでなく術後の状態変化の観察も大切になります。
看護のまとめ一覧
観察するポイントなどを一覧にしました。
| 薬剤投与への看護 | ・硝酸イソソルビド(二トロール)やシグマート(ニコランジル)の血管拡張作用による血圧低下に注意する ・血圧はアプローチする部位に重ならないように装着し2〜10分間隔など定期的に測定 ・特に薬剤使用時や治療の際は血圧の変動や脈の変化などに注意する |
| 造影剤副作用への看護 | ・PCIで造影剤を変えた場合はアレルギー症状に注意 ・手技の邪魔にならないタイミングがあれば掻痒感や気分不良などを確認する ・腎機能低下症例では造影剤の使用量なども確認する |
| デバイス操作に対する看護 | ・カテーテルの操作による穿孔のリスクを常に念頭に置く ・特に完全閉塞や高度石灰化病変などに硬いGWを通す時は要注意 ・穿孔した場合には連続の血圧測定と穿孔時に使用するバルーンカテーテルを準備する ・末梢塞栓や脳梗塞なども注意し、術中や術後の変化を観察する |
看護の基本は患者の状態変化を早期発見し対応を医師と協働して行うことです。手技に目がいってしまうことも多くあります。本質を見失わずに状態変化に敏感になることが大切です。
おわりに
PCIは心臓カテーテルの要です。ここを理解することで心臓カテーテルへの対応力が格段に向上します。心臓カテーテルの手技がわかると更に魅力的に感じることもあるかもしれません。
緊急の心臓カテーテルや放射線科などの配属で心臓カテーテルに関わる人は特に、PCIの治療をマスターすることでより良い看護に繋がります。
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苦手意識を力を身につけて克服することは大変ですが、本サイトがその足がかりになると嬉しいです。
