ICLSやACLS、NCLSなど様々ある医療資格。インストラクターで生計を立てることは可能?

ヨガなどのインストラクターで生計を立てている人は少なからず存在しますが、看護師が取得する救急系のインストラクターでは生計を立てることは可能?その答えを本記事でお伝えします。
救急インストラクターとは
本記事で取り上げる救急資格とはACLSやICLSを始めとする救急系の医療資格のことを指します。本Webサイトで取り上げているものなどを一例とすると、ICLSやNCLSがあります。また、それ以外にもAHA主催のACLSや災害系の資格であるMCLS、外傷治療を学ぶJPTECやJNTECなど様々です。
インストラクターとはそれらの研修を指導する立場にあたります。それらの医療資格を組みわせて、インストラクターとしての活動を主体として生活は可能であるか、インストラクターとしての収入を主として生計を立てることが可能であるかを解説していきます。
※これらの解説は一個人としての見解になるためご了承ください。
救急インストラクターによる収入の仕組み
まず、結論からお伝えすると、救急資格のインストラクターで生計を維持することは限りなく不可能に近いです。
ヨガなどのインストラクターとして生活は成り立つのに、救急のインストラクターではなぜ成り立たないのか、その理由と収入の仕組みについて紐解いていきます。
インストラクターの種類
医療系の研修において指導する立場の人を総称してインストラクターを呼びますが細分化すると役割によって以下に分けられます。
| 名称 | 役割 |
|---|---|
| CD/コースディレクター | そのコースを開催するために必要な人員。総監督の役割。 |
| CC/コースコーディネーター | そのコースの運営を主に取り仕切る人員。コースの開催、運営の中心的役割。 |
| ブースリーダー | 各チームにおけるリーダーの役割。チーム数の数だけ配置される。 |
| インストラクター | インストラクションをメインで行う役割。 |
| アシスタントインストラクター | 資格を取得するために、実践経験を詰むために参加している人員。未取得ではあるが、状況に応じてインストラクションも実施する。 |
| チューター | インストラクターと受講生の橋渡しの役。受講生について、理解度の把握などを行う。 |
コースの開催が決まるとインストラクターが各役割に振り分けられます。基本的にコースディレクター以外は役割による金銭面の変化がないことがほとんどです。また、アシスタントインストラクターに関しては資格未取得であり、実践経験のための参加であることから謝礼金などは出ない場合が多いです。
収入源はどこから
インストラクターとしての収入は基本的に交通費と謝礼金になりますが、それらの収入源は受講生の受講費用から賄われています。参考書代は団体側の収益に入りますので、受講生の受講料のみが大まかな収入源です。
1万円のコースに10人が受講した場合
- 1万円×10人=10万円
- コース自体の収益が10万円
収入の仕組み
収入源は受講生の受講費用になりますが、受講費用が全額収入として入る訳ではありません。受講費用の一部は運営団体に支払い、加えてコースによっては受講生やインストラクターのお弁当代などを準備することも多く、また、コースを運営するための資機材の費用も必要になります。
加えて、インストラクターが全員自施設のみで行える場合は少なく、多くのコースでは自施設以外からもインストラクターを集って開催しています。インストラクターが会場に来るための交通費は支給されることが多く、それらの費用を全て差し引いた金額が収入となります。
1万円のコースに10人が受講した場合(インストラクター8人)
収益
- 1万円×10人=10万円
支出
- 運営団体の収益(1割と仮定) 10,000円
- お弁当と飲み物代(合計18人) 600円×18人=10,800円
- 運営費用(お菓子代等含む) 20,000円
- 交通費 2,000円(仮) 2,000円×8人=16,000円
- 支出合計 56,800円
収支を差し引きすると4万円程度の利益が出ますが、実際には交通費の支給額や運営費用などによって大きく異なります。また、ICLSなどはディレクターが医師のため、ディレクターへの配分が大きいことも多いです。

Nurse
私が今まで行ってきたインストラクター活動の大半は交通費のみの支給です。特にICLSは交通費以外の謝礼はほとんどないことが多く、NCLSは回数を重ねてインストラクションの幅が増えると謝礼が出ることがあります。
※インストラクターの実績や参加人数などによって大きく変わる可能性があります。ご了承ください。また、院内開催などの場合には院内教育の一環で勤務扱いなどの待遇を行っている病院なども一部あります。
救急インストラクターだけで生活は維持できない!?

前述した通り、インストラクターのみでの活動で生計を維持するのは極めて困難です。その理由としては、オンライン開催が難しいことと受講生のニーズなどが関連します。
救急系の研修は実技が主体
救急系のインストラクターは基本的に実技での体験が主体となります。セミナーなどであればオンラインで可能ですが、実技を学ぶ研修はオンラインになると成果を見出せなくなります。また、ヨガなどのインストラクターは同様に実技ですが、救急系の研修との大きな違いは相手が不要であることです。
救急系の研修は基本的に患者役を行う人またはQCPRのようなモデル役が必要となります。オンラインでは、質疑応答の形式になるため臨床感も低下することに加え、オンラインでの実施はタイムラグが生じます。
救急系の医療資格の大半は即座な対応を目指しているため、時間との兼ね合いなども醍醐味としていることがほとんどです。そのため、救急系のインストラクターはオンラインなどでの開催が困難であり、生計を維持するほどの頻度で開催することは困難と言わざるを得ないです。
看護師対象のため、ニーズの幅が狭い
救急に限らず医療系の研修に通ずるものの特徴は、受講対象も同様に医療従事者であることです。ヨガのインストラクターなどは女性が多いものの、基本的に全ての人が受けることが可能ですが医療系の研修は看護師ないし医療従事者が受講対象となります。
受講生の範囲が絞られることに加え、受講する対象は基本的に病院などに勤務している人になります。仕事の合間に受講することがほとんどのため、生活状況などによっては受講を希望しない人も多くいます。
定期的な受講が少ない
救急系の研修は医療従事者にとっての需要は大きいものの、半年に1回程度受講すれば早い方です。医療系の資格の有効期限は大体2〜3年の場合が多いため、有効期限内に更新するとしても同一の人が受講するのは2年に1回となります。
毎週ないし毎月受けるような塾やフィットネス、ヨガなどとは異なり年単位での受講であることから安定して受講人数を確保することが難しいです。
それでもインストラクターを継続する理由

実際にインストラクターとしての収入は僅かですが、それでも継続して実施している理由は、医療の質向上と自己研鑽です。
救急を含め看護に準ずるインストラクターを継続する大半の理由は看護の質向上のためです。自部署や自施設の医療水準に貢献するとともに、インストラクターとして救急に関わることで自己研鑽にも繋がります。
収入よりも医療従事者としての自他貢献にインストラクターを継続する価値があります。インストラクターとして指導を行うことで、受講生から教わることも数多くあるためお互いに相互的効果を発揮します。
まとめ
インストラクターとしての活動は収入以上の価値があります。しかし、場合によっては交通費や宿泊費など、謝礼金以上に支出が多いこともあります。また、休日を返上するなどプライベートにも影響することが多いため、好きであるからこそ続けられる活動とも言えます。
看護師として行う救急資格で生計を立てる程度の収入を得ることは基本的に難しいですが、看護師としてのスキルアップとしてぜひインストラクター活動はオススメします。
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