Nurse
IVRの勉強をするために、技師向けに発行されている雑誌を読んだので概要を紹介していきます
心臓カテーテルは医師や看護師だけでなく、放射線技師や臨床検査技師、時には臨床工学技士まで参加する他職種が関わる治療です
そのため、看護師として他職種に任せて良い業務も多くありますが、理解することでより心臓カテーテルを深めることができるのも事実です
今回は心臓カテーテルのデバイスについて看護師として知識を共有していきたいと思います
参考資料
Clinical Engineering 2021年1月号
clinical engineering(クリニカルエンジニアイングリング)の雑誌は主に臨床工学技師等に向けて発行されています
技師としての医療機器の取り扱いや知識について書かれていることが多く、今回は心臓カテーテルを中心に書かれていたため参考にしました
アームの角度による撮影画像やFFR(冠血流予備量比)なども記載されており、雑誌としてはハイクオリティな内容になっています
clinical engineeringについて知りたい方はこちら↓
DCBカテーテルとは
心臓カテーテルで使うデバイスの一種にDCBカテーテルというものがあります
未経験者
DCBって何の略ですか?
Nurse
Drag coated ballonの略になります。日本語だと薬剤被覆バルーンですね。
心臓カテーテルでは細くなった血管を広げるために、バルーンカテーテルと呼ばれる風船が先についたカテーテルを使います
そのカテーテルを用いて細くなった血管を広げ、必要であればステントと呼ばれる網状の筒を留置し血管が再狭窄しないよう予防します
そのバルーンカテーテルの中でも薬剤を塗布されているカテーテルをDCBカテーテルといいます
商品名で言うとSeQuent PLUSなどがDCBにあたります
DCBカテーテルの特徴
主な使用用途は再狭窄予防ですが、添付文書にも記載されている様に3mm以上の血管ではステント内再狭窄にのみ使用可能です
3mm未満は新規血管にも使用可能ですが、臨床上ではステント内再狭窄に使われる場合が多いです
なぜDCBカテーテルがステント内狭窄に使用されることが多いかというと、そこには狭窄が起こるメカニズムが関与しています
新生内膜と薬剤
アテローム性の心筋梗塞では、内膜と中膜の間にコレステロールなどが入り込み、動脈硬化性プラーク(アテローム)を生成します
アテロームは内膜と中膜の間で盛り上がり、血管内腔を狭窄させることで血流が悪くなります
また、それに伴い菲薄化した内膜が破綻すると血小板凝集が起こり、血栓閉塞となって心筋梗塞を起こします
ステント内狭窄の原因は新生内膜の過形成です
バルーンカテーテルやステントを留置すると血管障害が起こり、血管の内側の層を厚くする新生内膜形成が起こります
それにより、ステント内の内膜が肥厚しステント内狭窄を起こします
その新生内膜の形成を抑制するのがDCBカテーテルに塗布されている薬剤です
薬剤はパクリタキセルなど抗癌剤の一種です
パクリタキセルなどの薬剤を塗布することで、内膜の過形成を抑制し再狭窄を予防します(図1)
まとめ
- ステント内狭窄の原因は新生内膜の過形成
- ステント内狭窄の治療としてDCBカテーテルが有用
- 使われている薬剤はパクリタキセルなどの抗癌剤の一種
Clinical EngineeringではDCBカテーテルのようなデバイスについても事細かに解説しています
ステント内狭窄のワードが出てきたらDCBカテーテルを念頭に入れて対応すると医師との連携もより図りやすくなると思います