下肢静脈瘤の治療を使い分ける


下肢静脈瘤に対する血管内塞栓術の器械だしに関する手順やポイントを紹介していきます!
様々な病院で行われる手術ですが、大まかな方法は決まっているものの、詳細な手順や使用する資機材は病院や手術する医師によって様々です。そのため、あまり参考書以外では詳細部分まで知ることが難しい現状があります。
今回は手術室看護師として実際に行った下肢静脈瘤に対する血管内塞栓術の術式や大まかな方法、手術の際に使われる器械や流れを解説していきます。
手術室看護師や手術看護に携わる職種、手術を受けられる人などが少しでも手術に対してイメージがつき、少しでも安心して手術を実施できることを目的としています。
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下肢静脈瘤血管内塞栓術(CAC/ベナシール)

下肢静脈瘤における血管内塞栓術は静脈瘤の手術の中でも比較的新しい手術です!従来のストリッピング手術より現在は主流になりつつある治療法のため、ぜひ特徴や器械だしの手順の参考にして下さい。
下肢静脈瘤血管内塞栓術(CAC/ベナシール)の概要
| 疾患 | 下肢静脈瘤(伏在静脈) |
| 体位 | 仰臥位,腹臥位 |
| 手術時間 | 30〜60分 |
| 出血量 | 少量 |
| 麻酔方法 | 局所麻酔 |
CACとはCyanoacrylate Closureの略称であり、下肢静脈瘤に対する主要な治療方法です。下肢静脈瘤における血管内塞栓術は2019年の12月に保険適応となった手術であり、下肢静脈瘤の手術においては新しい治療法です。下肢静脈専用の医療用接着剤を静脈瘤の血管に注入することで塞栓し静脈瘤の症状改善を図ります。
血管内塞栓術はメスなどの切開及び縫合を必要としない手術のため、侵襲が少ないです。また、圧迫療法も必要としないメリットがあります。焼灼による静脈閉塞を行うETAと比べて熱傷の心配もなく、TLA麻酔も使用しない血管内塞栓術は非焼灼非浸潤麻酔治療(NTNT/non-thermalnon-tumescenttreatment)とも呼ばれています。
局所麻酔で出血も基本的に少量であり、日帰りでの手術実施も可能です。体位は大伏在静脈(GSV)を塞栓する場合には仰臥位で実施しますが、小伏在静脈(SSV/SPV)を塞栓する場合には腹臥位で実施します。
仰臥位で実施する際には内側の血管からアプローチすることが多いため、下肢がガニ股(カエル足)になるように枕やクッションなどで整えます。
下肢静脈瘤血管内塞栓術(CAC/ベナシール)の適応
血管内塞栓術の適応となる血管は主に大伏在静脈(GSV)と小伏在静脈(SSV/SPV)です。血管内塞栓術ではカテーテルを挿入し塞栓剤を注入するため、ある程度蛇行していない血管が必要となります。例外的に副伏在静脈などに実施することもありますが、カテーテルが通らないほどの血管径では実施が困難となります。
また、血管径が異常に拡大している血管も同様に治療効果が出ないため推奨しないことが多いです。適応とする血管径は特に規定はありませんが、血管内腔を塞栓物質で満たす必要があるため、血管径が拡大している症例では内腔が完全に閉塞せず、高位結紮などの追加治療を必要とする可能性があります。
下肢静脈瘤血管内塞栓術(CAC/ベナシール)の禁忌
シアノアクリレートは脳血管などで使用されるヒストアクリル(NBCA:n-butyl-2-cyanoacrylate)とベースは同じであるため、アレルギーなどの歴がある場合には使用禁忌です。
合併症としても起こる可能性があり(欧米では数%)、術後合併症が生じた場合には掻痒感などを伴う可能性もあるため抗ヒスタミン剤(痒み止め)などを塗布して対症療法なとに努めます。
下肢静脈瘤血管内塞栓術(CAC/ベナシール)の物品

- ベナシール接着剤(5ml)
- ディスペンサガン
- イントロデューサ(7Fr,80cm)
- カテーテル(5Fr,91cm)
- ダイレーター(5Fr,87cm)
- シリンジ(3ml)✕2
- ディスペンサチップ(14G)✕2
- ガイドワイヤ(0.035inch,180cm)
下肢静脈瘤血管内塞栓術(CAC/ベナシール)の手順
※メドトロニック社ベナシールの一例

下肢静脈瘤血管内塞栓術では基本的に器械は不要です。静脈瘤の切除などを併せて実施する場合には切開・縫合などのセットを準備します。
標準的に使用するデバイス
| シース | ・穿刺部にカテーテルを出し入れするための入り口 ・6Frより径の大きいシースを基本的に使用する ・静脈瘤切除を併せて行う場合には使用しないことも多い |
| ベナシール | ・静脈瘤の血管を塞栓物質で閉塞するためのデバイス ・血液に反応し薬剤が凝固するため取り扱いに注意する |
基本的には径シース的なアプローチとなりますが、静脈瘤の瘤切除術を併せて行う場合には切除予定の血管を露出した際に直接挿入し実施することもあります。
シースの長さは特に決まりはありませんが、入り口付近に塞栓物質を注入する際にシースを血管ギリギリまで抜く必要があるため長すぎると操作に影響を及ぼす可能性があります。一般的には7cm程度のショートサイズのシースを使用することが多いです。
塞栓剤(ベナシール)の準備
ここで使用するもの
- シースキット一式(シース,ガイドワイヤー)をヘパリン生食で満たす
- ベナシールのイントロデューサーとガイドワイヤーにヘパリン生食を注入し水通しを行う
- ベナシールは付属のシリンジと注射針で塞栓物質を吸い、カテーテルに接続する
- ディスペンサガンの上部を押してブランジャーを引き塞栓物質を吸ったシリンジを接続する
- シリンジを時計回りに1/4 程度回してロックする
- トリガーを引いて先端の黒い線を超える程度(3cm)まで塞栓物質を充填する
シース挿入
ここで使用するもの
- イソジンにて消毒しドレーピング,エコーにエコーカバーを掛け術野に準備する
- 1%キシロカインにて局所麻酔,麻酔効果確認
- エコー下にてサーフロ穿刺し、血管留置後にサーフロの内筒を抜去
- シース用のガイドワイヤー挿入しサーフロの外筒を抜去する
- 血管内に残っているシース用のガイドワイヤーを経由してシースを血管内に挿入する
- ヘパリン生食で逆血を確認し静脈とシース内をフラッシュする
ベナシールカテーテル留置
ここで使用するもの
- ベナシール用ガイドワイヤーを挿入しエコー下で塞栓部分の近位端まで進める
- イントロデューサー(青色)とダイレーター(グレー)をガイドワイヤーに沿って 進める
- 塞栓剤を注入する近位端までイントロデューサーを誘導し、ガイドワイヤーとダイレーターを抜去する
- イントロデューサー(青色)の逆血を確認してヘパリン生食でフラッシュする
- イントロデューサーの目盛りを元にエコー下で 5cm 引く
- プライミングされたカテーテルをイントロデューサーに挿入しスピンロックコネクタでイントロデューサーと固定する
血管塞栓術
ここで使用するもの
- 塞栓部位の近位をエコープローブで短軸方向に圧迫を加えながら、トリガーを 3 秒間引き塞栓物質を 0.1ml 注入する
- 1cm 引き戻し再度トリガーを 3 秒間引き塞栓物質を 0.1ml 注入する
- 3cm 引き戻した後、手の指で塞栓物質を注入した個所を圧迫し、 3 分間カウントする(初回塞栓物質が凝固するまでの時間)
- トリガーを 3 秒間引き塞栓物質を 0.1ml 注入後、3cm 引き戻し、30 秒カウントする

ここまでで1クールです。④の工程を複数回行ったのち30秒カウントする場合もあります!
| 塞栓の種類 | 方法 |
|---|---|
| シングルセグメントアプローチ | 塞栓物質を 1 回(0.1ml)注入し3cm 引き戻し30秒圧迫する |
| ダブルセグメントアプローチ | 塞栓物質を 1 回(0.1ml)注入し3cm 引き戻す行為を素早く2 回繰り返した後、塞栓物質を注入した個所 6cm を30 秒圧迫する |
| トリプルセグメントアプローチ | 塞栓物質を 1 回(0.1ml)注入し3cm 引き戻す行為を素早く3 回繰り返した後、塞栓物質を注入した個所 9cm を30 秒圧迫する |
閉創
ここで使用するもの
- シース抜去後は用手圧迫止血を行う
- 止血を確認でき次第ドレッシング剤を貼付する
- シース部位は刺入部の孔が大きいため、俵状のガーゼとテープなどで圧迫止血を行うことが望ましい


